研究課題/領域番号 |
20K00028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
加地 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50251145)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 真理の担い手 / 述定 / 真理付与 / 部分論理 / 部分的真理 / 実体主義 / 真理の時間主義 / 時制論理 / 時間的実在論 / 哲学的論理学 / 分析形而上学 / 対応的真理 / 実在論 / 形而上学 |
研究開始時の研究の概要 |
実在論的な真理論として最も標準的なのは対応説的真理論であるが、対応説は通常、真理値空隙(truth-value gap)を許さない「二値原理」を暗黙の前提としている。 本研究では、真値付与者(truth maker)理論を中心とした最近の対応説的真理論の流れに与しながらも、部分論理(partial logic)の活用・偽値付与者(falsity maker)の追加・真理値受容者(truth-value bearer)の再検討などによって、実在論的な枠組みを保持しつつ真理値空隙を許容する「部分的真理(partial truth)」に基づく対応説的真理論を構築する。
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研究実績の概要 |
2022年10月29日、東京大学で開催された哲学会第61回研究発表大会において、「真理の担い手としての述定」と題する依頼発表を行った。この発表では、現代における対応説的真理論の一形態と考えられる真理付与理論(truthmaker theory)における「真にする」という関係について、それが単なる偶然的なものではなく何らかの必然性を伴う関係である以上、その関係項のひとつとしての真理の担い手の「本性」というものを重視せざるをえないという問題意識のもとで、改めて真理の担い手についての形而上学的考察を行った。そのための方法として、どちらかと言えば言語哲学の文脈で、2010年頃からS.ソームズやP.ハンクスらが提示している「真理の担い手としての述定」という発想を主な手がかりとした。より具体的には、「真理の第一次的(primary)担い手は述定である」という主張の(私が採用する)意味を明確化したうえで、そのような主張の真理付与理論への応用可能性を探った。 その結果として、ハンクスに従って真理の第一次的担い手をトークンとしての述定行為と見なすことにより、真理付与理論においてJ.ロウとD.アームストロングがそれぞれ採用する真理の担い手のゆえに発生するいくつかの問題を回避できることを示すとともに、ハンクスの述定概念があくまでも古典述語論理の枠内での外延的な述定に縛られているという点においてあまりに一面的であることを指摘した。 上記以外にも、論文「なぜ私は成長ブロック説を採らないのか:秋葉氏に答える(1) 」において、真理の部分性をもたらす重要な一要因としての真理の始原的現在性の時間論的根拠となる現在主義を擁護することにより、本研究の前提となっている実体主義的存在論の再強化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの三年間で、実体主義的存在論と真理付与理論に依拠しながら、真理の対応性・時間性・部分性というそれぞれの要因については一定の検討を行うことが出来たが、それらを総合して統一的な真理像を提示するまでには至らなかった。また、そのためにも、各要因についてのさらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
この三年間に発表した論文や発表をさらに発展させて、それらの続編に相当するいくつかの論文を作成することにより、真理の対応性・時間性・部分性というそれぞれの要因に関する考察の完成度を高めるとともに、それらを総合して統一的な真理像を提示することを試みる。
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