研究課題/領域番号 |
20K00030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 専修大学 (2021-2023) 新潟大学 (2020) |
研究代表者 |
宮崎 裕助 専修大学, 文学部, 教授 (40509444)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | テレパシー / 倫理 / エンパシー / 共通感覚 / 想像力 / フィクション / 郵便的 / 共同体 / 啓蒙 / コミュニケーション / 集団心理学 / 共感 / 歴史的判断力 / ピューリタニズム / ポピュリズム / カント / デリダ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、共通感覚論の再解釈に基づき、「テレパシー」と呼ばれるべき概念によって現代倫理学の新機軸を打ち立てることを目指す。共通感覚の概念には、アリストテレス以来、「五感に共通の感覚」と「他者との共通の感覚」という二つの系譜がある。とくに後者は、人々の共同体感覚(同胞感情)として重要な公共的含意をもつ。しかしこの概念は、従来シンパシー(共感)やエンパシー(感情移入)のような統合的な感情原理として理解され、集団感情の衝突や暴走がもたらす現代の諸問題に充分に答えられていない。そうした課題に答えるべく、本研究は、カント美学および共通感覚論の再編を基盤とした「テレパシー(遠隔感情)の倫理学」を構築する。
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研究成果の概要 |
本研究の成果の要点は、カント美学および共通感覚論研究の成果とその深化を基盤として「テレパシー倫理学」を切り拓いたところにある。「テレパシー倫理学」の構築のために、政治的判断力と歴史感覚、パンデミックにおける信への問いと、集団心理学と精神分析、共同体と他者感覚、友愛と敵対、想像力とフィクション、ポストモダンにおける来たるべき啓蒙といった複数の主題にそくして課題を推進することによって成果を出した。発表形態では、単著の刊行、学術誌や単行本への寄稿、国内外での学会発表、また商業誌やインターネットでの発信を通して、成果の公表を継続的に実施した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来の共通感覚論を、近接性や同質性に基づくシンパシー(共感)やエンパシー(感情移入)の観点からではなく、遠隔性や異他性に基づくテレパシーの観点から刷新することにより、今日的課題に哲学・倫理学的視点から応答しうるものである。本研究代表者は、かつてデリダの討議倫理学を「テレコミュニケーションの論理」として定式することを通じて新たな民主主義論の地平を解明していた。これは大衆の情動的同一化に帰結しない「距たりの共鳴」として人々の絆を構想し、「テレパシー倫理」に基づいた共同体のかたちを模索することに通じている。こうした目論見のもとに「テレパシー倫理学」の構築を行なった点にその学術的意義がある。
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