研究課題/領域番号 |
20K00031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 拓 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70723386)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 非難 / 道徳的責任 / 関係 / 規範 / 責任 / 帰属主義 / 自由意志 / 依存症の倫理学 / ゆるし / スポーツ倫理学 / 審判 / 依存症 / 許し |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、非難の哲学理論が共通して説明すべき非難現象の様態・種類・文脈を規範性の観点から特定し、それによって現時点で有力視されている非難の理論を評価することにある。そのためにまず、謝罪と許し、および差別に関わる侮辱と貶価といった現象に着目し、それらに関連する哲学・倫理学文献の文献調査を行う。これを通じて、非難が規範的に機能する文脈を特定し、その機能を分析する。これによって非難の理論が説明すべき現象の外延を定め、理論の評価基盤とする。また、現在有力視されている諸理論を(1)で特定した評価基盤に照らして評価するとともに、依存症をテーマとした応用倫理学問題に適用し、理論の実践性を評価する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、非難の哲学理論が共通して説明すべき非難現象の様態・種類・文脈を規範性の観点から特定し、それによって現時点で有力視されている理論(反応的感情に基づく説と関係に基づく説)を評価することであった。本研究で示したのは、依存症患者への対応やスポーツ倫理学といった応用倫理学領域では、領域に設定された目標・目的に非難が大きく貢献しうるという点で、関係に基づく説が有力だということである。ただ、行為や態度の評価的判断を行為者に帰属できればその責任を問うことができるとする帰属主義の立場をとるなら、個人の関係性を超えた広い範囲の行為が非難の対象になるため、その部分では反応的感情説に意義が見出しうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
応用倫理学のような、何らかの実践的な目標を設定できる分野においては、関係に基づく非難の説明の方が目的貢献という点でより強い妥当性をもつことを示した点は、現在論争中である非難の理論に一定の評価を与えた。このような理論的な意義に加え、現実における非難の意義と役割を明示できたという実践的意義も本研究にはある。関係に基づく理論によれば、現場の規範そのものよりも、規範を構成する関係に目を向けることによって非難はより大きな意義を獲得する。非難の捉え方を関係の修正とすることで、非難は規範のアップデートにおいて重要な要素となることが示された。
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