研究課題/領域番号 |
20K00032
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
長田 怜 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40867917)
|
研究分担者 |
瀬藤 光利 浜松医科大学, 国際マスイメージングセンター, センター長 (20302664)
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
森下 直貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (70200409)
清水 雄也 京都大学, 宇宙総合学研究ユニット, 特定助教 (30952147)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 医療哲学 / 医学哲学 / 科学哲学 / 因果論 / 科学方法論 / 因果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、科学哲学や医療の哲学の専門家と、基礎医学、臨床医学、社会医学の研究者が共同で研究することで、医療における新しい因果特定の方法論の特徴を哲学的に解明する。基礎医学、臨床医学、社会医学のそれぞれにおいてそうした方法論を詳しく検討し、さらにはそれらの相互関係をも明らかにすることで、医療における因果特定の方法論の全体像を解明する。また、因果特定が社会で演じるべき役割をも論じて、このチームワークの成果を社会に還元する。
|
研究実績の概要 |
本研究プロジェクト・メンバーの研究会をオンラインでおこない、研究代表者の長田が自身の調査・考察結果を報告した。基礎医学の証拠から類推して臨床での因果特定に適用するという「外挿」の問題を取り上げ、その中でメカニズムの類似性が果たす役割について考察した。先行文献に従い、特に「外挿の循環」の問題に対処していくうえで、メカニズム以外の類似性やメカニズムの部分的な類似性がどのような重要性をもつかを議論した。この結果をもとに、研究分担者や研究協力者が実際に研究に従事している基礎医学の具体例についてさらに分析を進めていく予定である。 また長田は、前年度から引き続いて、質的研究におけるメカニズム理解の重要性についても研究を進めた。質的研究においては他者認識の妥当性や信頼性が重要な論点になるが、他者認識のシミュレーション説などを参考に、他者認識においては心的メカニズムの類推がおこなわれる、というアイデアの意義を、他の説と比較しつつ検討している。 以上の研究は、広くいえば類推(アナロジー)という推論のもつ哲学的意義を、基礎研究と質的研究という、医学の異なる領域において確認するものである。本研究プロジェクトでは、こうした複数の領域での具体的な考察を経ることで、類推という推論の包括的な特徴づけも視野に入れ、それを試みている。 以上を総合することで、基礎医学、臨床医学、社会医学、看護学という医療のさまざまな分野における研究を、メカニズムの類推という観点から統合的に理解しようとしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療の研究範囲と研究方法が多岐にわたるため、それらを広範に調査するのに当初の計画よりも少し時間がかかっている。
|
今後の研究の推進方策 |
医療での因果特定におけるメカニズムの類推の役割について、焦点を絞って考察する。とりわけ、基礎医学の証拠から類推して臨床での因果特定に適用するという「外挿」の問題と、質的研究における他者の心の類推に基づく因果特定の問題に焦点を絞り、考察する。どちらも、先行する科学哲学・医療哲学・医学哲学の文献を調査しつつ、研究分担者や研究協力者の医療研究現場での知見をフルに生かして解明を進める。2024年度はその成果を学会のワークショップあるいはシンポジウムの形で発表する予定である。
|