研究課題/領域番号 |
20K00035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (20303795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 京都学派の哲学 / 現代フランス哲学 / 西田幾多郎 / 田辺元 / 西谷啓治 / ベルクソン / レヴィナス / アンリ / 原-質料性 / ポール・リクール / フランス現象学 / 絶対無 / 原ー質料性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、西田と田辺の絶対無概念がプラトンの「コーラ」との深い関わりの中で描出されていることを手引きとして、「事実性」そのものを追究するという彼らの志向を、「原‐質料性」という西洋哲学全体に影のように同伴する主題と連動させてとらえ直そうとするものである。この作業は、彼らと同時代のフッサールやハイデガー以後のフランス現象学における「質料的(非)現象学」というべき展開と、意識的に交差連関させつつ行われる。それによって、彼らの思索の哲学史的位置づけや同時代の哲学との関係、およびその今日的可能性について従来とは異なる角度から包括的に解明し、その全体像を更新することを目指す。
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研究実績の概要 |
三年目となる今年度は、新型コロナ禍の影響は少し収まってきたものの、本研究との関連で企画していた対面型の国際的な研究交流の機会はきわめて限定されたままであった。そこで、当初の計画では今年度が当研究の最終年度であったが、さらに一年延長を申請することとし、それにつながるような仕方でこの一年の研究を再組織した。 2022年3月に、パリカトリック大学のエチエンヌ・ジルソン講座の担当者として当研究に関わる内容の6回連続講義(オンライン)を行い、その後2022年末までこの講義を原稿化し、フランスで出版するための準備をするという仕事があった(2023年5月に刊行予定)。それを好機として、本年度の研究は、この仕事の有機的な連関を意識しながら、多方面に展開することを心がけた。その結果、質料的(非)現象学という観点から京都学派の哲学と現代フランス哲学を交差させるという本研究の企図において、以下に列挙するような進展を果たすことができた。 ① ジルソン講座の第5回講義「存在の手前へ」でレヴィナスと田辺を「原-質料性」という観点から組織的に交差させたが、その考察をさらに拡大深化させる形で、レヴィナスと西田、さらにはアンリと西田のあいだでも同様の考察を展開した。前者は2022年7月にフランスのスリジー=ラ=サール文化センターでの国際会議(対面)で発表し、後者はジルソン講座講義の出版用原稿に組み込んだ。 ② 昨年度から取り組んでいる西谷啓治の哲学の研究について、初期におけるベルクソン受容がベルクソンの持続論や記憶論の読み直しにおいても画期的な寄与をなしうるものであることを明確にした。その成果は、2022年10月の日独文化研究所における西田・西谷シンポジウム(対面の国際会議)では日本語、同年11月のProjet Bergson au Japonのシンポジウム(オンライン)ではフランス語で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に記した通り、新型コロナ禍の影響はなお続いていたが、国内外の対面・オンラインでの研究集会の機会などを最大限に利用し、本研究の進展と結びつけることによって、研究内容においては、当初期待していた水準に達することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は新型コロナ禍の影響はごく限定的となることが予想され、本研究の軸の一つである国内外の研究者との直接の意見交換や共同研究の機会を確保できると期待できる。オンラインでの交流なども効果的に組み入れ、最終年度にふさわしい形での研究の集大成を図りたい。
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