研究課題/領域番号 |
20K00036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
熊坂 元大 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (60713518)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 環境徳倫理学 / マレイ・ブクチン / ヒエラルキー / 自由 / 人新世 / ゲノム編集 / 環境倫理学 / Murray Bookchin / 徳倫理学 / 人間中心主義 / 比較倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は人間中心主義という環境倫理学の古典的題材を今日の思想的・社会的文脈のなかで改めて検討し、その積極的意義――とりわけ環境徳倫理学研究を進めるうえでの意義――を明らかにする。 具体的には、①環境徳倫理学研究を人間中心主義の発展的解釈として展開する、②Murray Bookchin の思想に見られる人間中心主義を環境徳倫理学の議論へと接続する、③環境徳を比較倫理学の視点から検討するという三つの課題に取り組む。 以上の作業を通じて、人間中心主義のより幅広い、文化横断的な解釈を提示するとともに環境保護の多元的な道徳基盤の構築に寄与することが本研究の狙いである。
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研究成果の概要 |
本研究では、自然への人為的介入が生態系レベルでも遺伝子レベルでも進んでいる現代における自然理解を、ブクチンのヒエラルキー批判の観点から検討した。自然や生命を道具的に理解する姿勢を批判するうえで、ブクチンは弁証法的自然主義をその根拠とした。本研究では、自然を自由と多様性の拡大と見なすブクチンの態度を一種の環境徳として位置づけて取り組んだ。この成果については今年度中に論文として完成させる予定である。また、本研究の理論的土台を整理する作業の一環として、環境徳倫理学の主要文献の一つであるロナルド・サンドラーの著作を『環境徳倫理学』として翻訳し2022年に出版した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
環境保護につとめる道徳的動機には、人権侵害や不正義への問題意識と並んで、個人の生や社会のあり方についての徳倫理学的関心があげられるが、この点についての研究は国内ではまだ研究を発展させる余地がある。本研究はそうした取り組みの一つとして貢献するものである。また、これまでのところ日本国内では環境徳倫理学について翻訳がほとんど進んでいない状況であるが、サンドラーの著作を日本語読者に紹介できたことは、哲学・倫理学関係者のみならず、環境保護に関心のある人びとへの大きな貢献だと考える。
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