研究課題/領域番号 |
20K00040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 現象学 / 倫理学 / ポルノグラフィ / 性的モノ化 / 身体 / 感情 / アーカイブ / 映画 / 表現 / 実存 / 芸術 / わいせつ / 性差別 |
研究開始時の研究の概要 |
ポルノグラフィの表現を規制する一つの根拠とされる「性的モノ化(性的客体化)」は多義的に用いられ、議論の混乱や不必要な対立を招いている。性的にモノ化されるとはどのようなことか、それはどのような意味において悪いのか(場合によっては許されるのか)が明確にされるべきである。本研究は、①「ポルノグラフィにおける「性的モノ化」の意味を明確化し、②鑑賞者の認識・欲望・趣味の機能などの経験やその変化を明らかにし、③悪しき鑑賞と望ましい鑑賞との様式を示唆する。概念を分析する哲学研究のなかで、経験に目を向ける現象学的アプローチを展開し、最終的にはポルノの鑑賞をめぐる規範を示すことになる。
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研究実績の概要 |
研究の最終年度にあたる本年度は、鑑賞の規範的問いを考察するために、前年度までの成果を踏まえたうえで、現代哲学における「認識的不正義」(M.フリッカー)の議論と現象学における「認識倫理」(E.フッサール)の議論の接点を考察する予定であった。この計画に沿って研究を推進すべく、認識の倫理に関する研究を行なった。『フィルカル』 7(1) 号に「マードックと現象学」 を発表したほか、南山大学社会倫理研究所2022年度第一回懇話会では、「認識の倫理を問う哲学」というコメントを行なった。また、編著の『あらわれを哲学する』(晃洋書房)に「認識と倫理」を寄稿した。これらはポルノグラフィを正面から扱ったものではないが、ポルノ映画の鑑賞の倫理を考察するための枠組みを確認した。こうした成果を踏まえながら、ポルノグラフィの倫理的問題を検討する著作を発表する準備をしたが、刊行は次年度になった。 研究を進めるなかで新たにポルノグラフィのアーカイブをめぐる問題が浮上した。日本倫理学会、神戸発掘映画祭、アーカイブに関する研究会などのいくつかの研究発表を行なって、映画研究者やアーキビストと意見交換をすることができた。日本倫理学会ワークショップとして「映像文化遺産のアーカイブの倫理学 戦争遺跡とポルノグラフィをめぐって」を企画・実施した。神戸発掘映画祭のシンポジウム「デジタル映像アーカイブの未来研究「8mmフィルムの可能性」篇」では「ブルーフィルムの歴史的価値とアーカイブをめぐる課題」を発表した。「デジタル映像アーカイブの未来研究 III」研究会では、「ブルーフィルムのアーカイビングとその課題――土佐のクロサワを手がかりに――」を発表した。これらの研究では、ポルノの公開と保存をめぐる倫理の課題を整理することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数の研究発表を行うことができたが、著作の刊行が次年度に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
すでにある程度の準備が整っている著作の刊行を中心にして、研究を取りまとめる。
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