研究課題/領域番号 |
20K00044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
神島 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60449329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ロールズ / 財産所有の民主制 / 認識的不正義 / 居住の権利 |
研究開始時の研究の概要 |
現代政治哲学のリベラリズムは、すべての人の「平等な自由」の実現を目指しながらも男性中心主義を払拭できていない。ジョン・ロールズの「財産所有の民主制」構想のもとでもジェンダー平等の実現は困難である。なぜならば、ロールズが提案するように婚姻した男女の所得を平等に分けたところで、婚姻前の男女のケイパビリティの平等は保障ないからである。個人としての女性も平等な〈事前の分配〉の対象に含まれる「財産所有の民主制」はどのような経済社会の像を結ぶだろうか。本研究ではロールズの「財産所有の民主制」をフェミニスト的視点で考察・展開し、より真なる意味でのすべての人の「平等な自由」の実現を目指す思想と実践を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究はロールズの「財産所有の民主制」をフェミニスト的視点で考察・展開し、より真なる意味でのすべての人の「平等な自由」の実現を目指す思想と実践を提案するものである。今年度はロールズの「財産所有の民主制」を批判的に検討するための導きの糸として、フリッカーの『認識的不正義』を精読し、理解を深めることができた。また、本研究の開始時から始まったコロナウィルス・パンデミックも収束に向かい海外渡航が容易になったため、7月上旬にはルーマニアで開催されたIVR (国際法哲学・社会哲学会)の第30回大会で"Democratic Justice and Obligations"(「民主的な正義と責務」)というペーパーを口頭発表視し、8月下旬から9月上旬までを用いてハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブに初めて赴き、7箱分の資料を収集し、9月下旬にはベルギーで開催されたHuman Development & Capability Association(人間開発とケイパビリティ学会)の年大会で"Is property-owning democracy good for the capability equality?"(「財産所有の民主制はケイパビリティ平等にとってよいのか」)というペーパーを口頭発表することができた。また、9月末にはオンラインで開催された日本倫理学会の第73回大会ワークショップにて、「〈認識的不正義〉を拓くージェンダー平等へ向けてー」というテーマで報告した。また、本研究の途中経過として、日本語の論文「ジェンダー正義への責任 ロールズ「財産所有のデモクラシー」の可能性」を準備することができた。次年度に論文集に収録され刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の開始時がコロナウィルス・パンデミックの開始時と重なったため、海外渡航しハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブにて資料収集をすることが2年間できなかった。そのため進捗状況はやや遅れているが、3年次にはアーカイブを訪問することができたこと、そして1年間の研究延長が認められたことから、遅れは取り戻せる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
4年次には再びハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブを訪問し、財産所有の民主制に関連する資料を収集するとともに、3年次に海外学会で発表したペーパー2本に加筆修正を行い投稿する予定である。
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