研究課題/領域番号 |
20K00052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辛 賢 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70379220)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 易学啓蒙 / 朱熹 / 韓邦奇 / 考変占 / 宋代易学 / 象数 / 占筮 / 明蓍策 / 奇偶 / 河図洛書 / 劉牧 / 図十書九 / 象数易 / 郭彧 / 戸田豊三郎 / 朱子学 / 図書 / 易数鉤隠図 / 言不尽意 / 易学 / 宋学 / 太玄 |
研究開始時の研究の概要 |
宋代は二程・朱子を中心とする義理易の発展とともに、王弼以来、衰退した象数易が邵雍によって新たな展開をなした時代である。宋代において象数は論理展開の技術・手段に止まらず、それ自体が思索の対象として形而上的存在論に展開し、象数学は宋学形成に大きな影響を与えたものと推察される。本研究では、とりわけ義理と象数の融合が図られる南宋の易学を取りあげ、朱子の理学形成における象数学の思想史的位置について考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、朱熹の易学について考察を行った。とりわけ朱熹の著述『易学啓蒙』考変占篇を取り上げ、変占の構造を再現し技法的特徴について解明を試みた。『易学啓蒙』考変占篇には、変占を構造化した三十二枚の図面が収められている。それらの三十二枚の図は、六十四卦の各卦の六爻が変化する限り変化する場合の数を想定し、本卦と之卦を一定の規則にしたがって配列したものである。従来の研究では、卦変の変例のみを概括するに止まっていたため、卦変図の詳細な仕組みにおいては判然としないところが多かった。そこで、本研究では、明の韓邦奇の『啓蒙意見』を手がかりに、三十二枚の図面を再構築し、卦変の数列構造を明らかにした。 周知のように、易の筮法は変爻(老陽九・老陰六)を求めて占う。最初筮して得られる卦を本卦と称し、本卦の老陽(九)・老陰(六)の爻が変じて得られる卦を之卦と称す。 たとえば、乾を本卦とした場合、本卦から変じて得られる之卦は、女+后・同人・履・小畜・大有・夬……師・復・坤の順に配列される。その結果、本卦より変じて得られる之卦の場合の数は、合計六十三通りとなる。さらに卦変図は逆さまに反転させてみることができる。その場合、坤卦が本卦に当たり、本卦から変じて得られる之卦は、復・師・謙・豫・比・剥・臨・明夷……履・同人・女+后・乾の六十三卦となる。すなわち、乾卦を本卦とする卦変に加え、坤卦を本卦とする卦変が上下反覆した二重構造をなしているのである。 このように三十二枚の各図は、以上の上下反覆の構造を表しており、三十二図でありながら、事実上、六十四卦の各卦を本卦とする四千九十六卦(64×64=4096)の卦変を組み上げ、万物の変化を占筮上に具現していることが明らかになった。 以上の研究成果については、『大阪大学大学院人文学紀要』第一巻にて公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に朱熹の『易学啓蒙』全四篇の検討を完了する予定であったものの、当初の予定よりやや遅れをとっている。
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今後の研究の推進方策 |
朱熹の『易学啓蒙』に関する分析を完了し、研究成果を公表する予定である。
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