研究課題/領域番号 |
20K00059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
平林 二郎 大正大学, 綜合仏教研究所, 研究員 (30724421)
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研究分担者 |
吹田 隆道 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (70765403)
名和 隆乾 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 講師 (20782741)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 経典読誦 / 読誦経典 / 大経 / 法門 / ニダーナサンユクタ / 義足経 / サンスクリット写本 / 初期仏教聖典 / 律蔵 / 阿含経 / 初期仏教 / 阿含 / 律 |
研究開始時の研究の概要 |
既存の仏教学研究では,初期仏教文献は韻文の伝承を基に散文経典を作成した,というのが定説となっていた.しかし,近年の研究成果から初期仏教文献の原形には韻文のものと散文のものがあり,韻文のものについては仏教以外の宗教やインドの叙事詩の思想などが組み込まれていると明らかになってきている. それでは仏教教団はどのように仏教外の思想を初期仏教文献に組み込んでいったのか.本研究は韻文経典と散文経典を分けた新たな初期仏教文献史の構築を目的とし,経蔵と律蔵にみられる経典読誦の分析,在家者による経典読誦と出家者による経典読誦の実態解明を行い,不明な部分が残る古代インドの仏教教団と在家者の関係性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
令和4年度は,経蔵・律蔵のなかで経がどのように唱えられているかという問題に焦点を当て,今までの研究成果を踏まえ,経典読誦と読誦経典と在家者の関係について研究を進めた. 平林(研究代表者)は,出家者だけでなく在家者によっても唱えられた「大経」(マハースートラ)の1つである『ニダーナサンユクタ』について研究を進め,この経のなかで経が読誦されている箇所と法門(ダルマ・パリヤーヤ)の関係について,日本印度学仏教学会で発表し,その内容を論文として発表した. 読誦経典については,ゲッティンゲン科学アカデミーのChung Jin-il博士の協力の下,ドイツやイギリスなど各地に収蔵されているサンスクリット写本について研究を進めた.ドイツにある写本については平林・吹田(研究分担者)が中心となり研究会を開催し『ニダーナ・サンユクタ』などの諸写本を読み進めた.また,大英図書館に収蔵されている写本については,平林・名和(研究分担者)・唐井隆徳(佛教大学,研究協力者)が大英図書館に収蔵されている『義足経』のサンスクリット写本に関する論文を発表した. この他,吹田は『マハーパリニルヴァーナスートラ』などにみられる釈迦牟尼の教説をめぐって,サンスクリット写本などを参照し研究を進め,その解釈を検討し論文として発表した. 中央アジアから出土したサンスクリット写本の書体研究としては『マハーパリニルヴァーナスートラ』の文字表の作成に取り掛かり,解像度が高い写本画像を所持しているものについてはその作業を終えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期仏教聖典の経蔵・律蔵のなかで経が唱えられている箇所の考察については,平林が中心となり研究を進めた.経典読誦・読誦経典について研究を進めている際に,経典と法門の関係を解明する必要があるとわかったため,法門についても研究を進めることとなった. 令和4年度は研究代表者と分担者がオンラインで研究会を45回開催した.研究会にはChung Jin-il博士・唐井隆徳博士なども参加し,読誦経典のサンスクリット写本などを解読した.これらの研究会の際に問題となった箇所については佐久間秀範名誉教授(筑波大学)・石田智宏教授(興隆学林専門学校)などからも助言をいただき解決をはかった.これら研究会で検討した内容の一部は論文としてその成果を発表している. 本来であれば令和4年度が本研究の最終年度であった.しかしながら,コロナ禍による社会状況により国内外の研究者を招聘した国際ワークショップを開催することができなかった.研究開始当初より計画していたワークショップが開催できなかったため,本研究はやや遅れてしまっている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き経典読誦と読誦経典と在家者の関係について研究を進める. 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けがインフルエンザと同じ5類に移行することから,令和5年度中に国内外の研究者を招聘して国際ワークショップを開催する予定である.本研究の研究成果をもとにワークショップを開催し,そこで得た知見をもとに在家者が経典をどのように唱えたのか,また,読誦経典はどうして唱えられるようになったのか,その一端を明らかにする.
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