研究課題/領域番号 |
20K00061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
橋本 泰元 東洋大学, 文学部, 教授 (40256764)
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研究分担者 |
沼田 一郎 東洋大学, 文学部, 教授 (20261258)
澤田 彰宏 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (00645939)
三澤 祐嗣 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (00755259)
相川 愛美 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (60813582)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バクティ / ヴリンダーヴァン / チャイタニヤ / チャイタニヤ派 / バーガヴァタ・プラーナ / 『バーガヴァタ・プラーナ』 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な要素と融合し、多様性に富んだ思想・文化を形成してきたヒンドゥー教を、一定の静的な現象として捉えるのではなく、多様な潮流として捉える視点に基づき、様々な領域を連動させた研究を目指している。その際の中核として、神への献身・信愛を意味するバクティという民主的宗教運動を据える。バクティは、理論と実践という2つの方向性が相互補完的に作用するため、多方面からの研究を必要とする。そこで本研究では、インド・ヴリンダーヴァンのチャイタニヤ派を対象として、理論と実践との相互補完的な研究を行うことにより、両者が連動した「綜合研究としてのバクティ研究」の実例を提示することを目的とする。
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研究実績の概要 |
22年度は、共通の基礎研究として、20年度から引き続き、ラッルー・ラール作『プレームサーガル』の翻訳研究を行った。『バーガヴァタ・プラーナ』10巻「クリシュナ神話」をヒンディー語に翻案したこの書は、ストーリーは細部まで原本に忠実であるが、時折、原本と異なり過度なクリシュナ賛美や登場人物の神格化が見られることや少し冗長な改変がなされていることが明らかになってきた。 研究分担において、理論分野では、チャイタニヤがクリシュナ神に対して「示現」を希求し、クリシュナ神との自己の「別離」の情感を持ち続ける神秘的なバクティ思想を、チャイタニヤはマーアヴェーンドラ・プリーから直接受け継ぎ、マーアヴェーンドラ・プリーはその資源を南インドのクリシュナ・バクティを謳いあげるサンスクリット語詩文学から形式的にも内容的にも得ていることを明らかにした。これによって、北インドのベンガル地方で発生したチャイタニヤ派のバクティ思想と南インドで盛んになったバクティ思想の動態の一端が明らかになったと言えよう。また、『バーガヴァタ・プラーナ』における宇宙生成論の研究について進め、ヒンドゥー教ヴィシュヌ派の一派であるパーンチャラートラ派に特徴的なヴューハ説の影響が見られ、さらにここではインド六派哲学の一つサーンキヤ学派の思想が取り入れられた宇宙生成論が説かれているが、最高神ヴィシュヌを頂点とする一元論に合わせて改変されており、同様の傾向がパーンチャラートラ派の説でも見られることが判明してきた。 一方、実践分野では、2023年2月にウッタル・プラデーシュ州ヴリンダーヴァンに所在するチャイタニヤ派の主要寺院のひとつラーダーラマン寺院の組織運営と聖職者の活動について約2週間の現地研究を行い、聖職者2名と信徒数名への聞き取り調査、法話の参与観察と記録の実施、資料収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
22年度は、研究対象地であるインド・ヴリンダーヴァンで調査および当該地の聖職者を交えて研究集会を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染の影響が残り、実施することができなかった。一方、22年度の後半では渡航制限が緩和され現地での調査を行うことができ、研究を進めることができた。また、21年度に引き続き、研究会や報告会は、オンラインで行えた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は、22年度に行えなかった合同実地調査を実施し、併せて調査地で神学者との意見交換・研究会合を開催する予定である。また、研究会・報告会はオンラインも含めて引き続き実施していく。
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