研究課題/領域番号 |
20K00064
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
橘堂 晃一 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00598295)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 古代ウイグル語 / 唯識文献 / 勝光闍梨都統 / 金光明最勝王経 / トゥルファン盆地 / 玄奘 / 『金光明最勝王経』 / 法相宗 / 唯識 / 仏教 / ウイグル語 / 写本 / 中央アジア仏教 / 唯識思想 |
研究開始時の研究の概要 |
補助事業期間の2020年度~2021年度にかけてベルリン、サンクトペテルブルグに所蔵されている当該のウイグル語「金光明最勝王経」の写本を閲覧し、校定テキストを策定する。これと並行して日本語への翻訳を行う。 本課題で最も重要となるのが経文への注釈部分の原典を特定することである。これを3年間継続して行い、最終的に訳注テキストを完成させる。
|
研究実績の概要 |
ウイグル語訳『金光明最勝王経』の写本の大部分は、ベルリンとサンクトペテルブルグに保管されている。このうち後者の写本のテキストはW.Radloff氏によって、すでに1930年に発表されており、前者についてもS.Ch.Raschmann氏によってカタログ化され、複数のトルコ人研究者によってテキストの校訂がなされている。とはいえ、修正すべき部分が少なからず認められるため、写本を実際に閲覧することは本課題にとって必要不可欠の作業であった。 今年度も、サンクトペテルブルグの東方文献研究所を訪問し写本を実見する予定であったが、コロナ禍の影響、およびロシアによるウクライナ侵攻により断念せざるをえなかった。そのような研究上の制限があるなかで、2021年度でマイクロフィルムの焼き付け写真に基づき、ウイグル文『金光明最勝王経』のテキスト入力と翻訳を継続し完了している。 2022年度は、写本に基づくテキストの校訂作業を保留し、語註と語彙索引の作成に注力した。翻訳者である勝光闍梨都統(シンコ・シェリ・トゥトゥング)は、『金光明最勝王経』のほか、『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』、『千眼千臂観世音菩薩陀羅尼神呪経』を翻訳している。そこで、勝光闍梨都統一の翻訳に使用されている仏教術語の用例を比較する作業を行った。とくに『金光明最勝王経』に挿入される唯識文献と関係の深いLehrtextと呼ばれる文献と『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』との比較することにより、共通する表現を確認することができた。その成果は「古テュルク語訳「慈恩伝」研究の現在地と新視座」として論文化し、2024年に発表の予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の作業の中心となるのは、ベルリンとサンクトペテルブルグに保管されるウイグル語写本を閲覧し、信頼できるテキストデータを構築することであったが、コロナ禍の影響により、国外の写本資料にアクセスすることはできなくなった。これにより本課題の当初の計画に遅れが生じている。その一方で、当初より予定していたテキストの入力、翻訳作業、注釈部分の検討は順調に進捗しているものの、当初の遅れを取り戻すことはできなかった。そこで研究期間を一年延長することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに入力し終えたテキストに基づいて、日本語訳は完成した。しかし写本を確認することが必要であることに変わりなく、このままでは不完全なままである。しかしながら、今年度も海外に出向いて写本を閲覧できるかどうかは不透明である。 マイクロフィルム写真によって、テキストと訳注、語彙索引を完成させ、報告書としてまとめたい。
|