研究課題/領域番号 |
20K00067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
笠松 直 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (40510558)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 梵文『法華経』 / 仏教混交梵語 / サンスクリット文法研究 / 古インド語動詞研究 / 現在語幹の活用 / 禁止法 / カシュガル写本 / ギルギット写本 / aorist / prohibitive / inhibitive / 梵文『法華経』成立史研究 / 動詞ramの現在語幹の活用 / 法華経カシュガル写本 / 法華経ギルギット写本 / 法華経 / サンスクリット文法 / 経典成立史 |
研究開始時の研究の概要 |
サンスクリット本『法華経』には多数の写本が伝存する。時代も地域も様々な写本群は,それぞれ多少異なる言語的特徴を伝えている。この際,新層写本であればあるほど,文法的に一様に整った語形を示すようになっていくことが観察できるが,そうした改変があきらかであるにも関わらず,場合によってはなお,章ごとに特異な語形・語法を示すことがある。 本研究は,そのような言語現象をサンスクリット言語学の観点から解析し,各伝本の異読を検討して伝承過程における改変の過程を原典に即して検証。『法華経』内部の層序を客観的に確証する新理論を構築して,『法華経』成立史の解明に資そうとするものである。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、3カ年の研究期間内に8回の学会発表を行い,計8報の論文(うち英文2報)を公表した。加えて現時点で2報が受理乃至印刷中である。 主要な古写本に動詞語形を徴して、古層写本の中期インド語的な読み(能動態ないし母音幹を取りがちである)から新層写本の古典サンスクリット的な(「正規」のサンスクリットの中動態ないし非母音幹の)読みへと移行する次第を動詞語根8個に即して明らかにし、原『法華経』では中期インド語の特徴が色濃いことを明らかにした。こうして動詞の活用形の古典語形への遷移、または古典語形への「校正」の次第を跡付けることで、写本系統を明らかにする手法の可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は梵文『法華経』に現れる諸語形を精査し、ヴェーダ・パーリ文献から古典期までのサンスクリット言語史・文献史に位置づけた。禁止法について、アオリスト語幹による構文は新層ネパール写本の改変によると論証。現在語幹の活用の推移を論じ、古層写本では能動態乃至thematic語幹が卓越するが、新層写本では順次古典梵語的な中動態乃至athematic語幹に移行する次第を解明した。一部写本は「校正」を貫徹せず、希求法・命令法等にthematic活用を残す。ギルギット伝承の文法的知識については再検討を要する。 以上、動詞語形を精査し、原典の言語状況と写本伝承の実情を解明する手法を斯界に提供したと評価されよう。
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