研究課題/領域番号 |
20K00084
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
|
研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
栗田 英彦 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10712028)
|
研究分担者 |
KLAUTAU Orion 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10634967)
碧海 寿広 武蔵野大学, 文学部, 教授 (80710813)
吉永 進一 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90271600)
GAITANIDIS IOA 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (90715856)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 近代仏教 / 日本心霊学会 / エソテリシズム / レイキ / オカルティズム / 鈴木大拙 / 陰謀論 / スピリチュアリティ / 民間精神療法 / 修養 / グローバル化 / 心理学化・科学化 / エソテリシズム(オカルティズム) |
研究開始時の研究の概要 |
宗教をビリーフ(信仰)とプラクティス(実践)に分けた場合、従来の近代仏教史記述はビリーフ中心的であり、仏教の近代化は実際に儀礼や祈祷などのプラクティスを迷信として排する面があった。だが一方で、伝統仏教内ではプラクティスの近代的変容があり、寺院外では居士禅が流行し、さらに仏教周辺には民間精神療法のような代替宗教も隆盛していた。本研究では、伝統仏教内の戒律、祈祷、修行、寺院外の居士禅、そして民間精神療法について、各々の歴史の発掘および相互関係の検証により、近代日本プラクティス史の包括的叙述を目指す。さらに同時期にグローバルに展開した近代ヨーガなどと比較し、近代プラクティス史全体への貢献も果たす。
|
研究実績の概要 |
資料収集・目録作成・アーカイブ化作業については、栗田英彦が担当していた『日本心霊』の誌面分析は完了し、丸善雄松堂から『日本心霊』デジタルアーカイブを刊行、栗田はその解説を執筆した。オリオン・クラウタウが担当していた修養・密教関係の雑誌の目録作成作業については、『精神修養』および『新修養』を完了し、『密厳教報』および『修養世界』もほぼ完成させることができた。 また、国内における成果発表として、栗田が編著『「日本心霊学会」研究』(人文書院)および共著『コンスピリチュアリティ入門』(創元社)を刊行した他、霊性思想と政治的言説との関連で、栗田が雑誌『ユリイカ』および『情況』に、クラウタウが『中央公論』に論考を発表した。また近代仏教関連では、碧海寿広が鈴木大拙『禅と日本文化』(角川書店)の新訳完全版を刊行し、『現代思想』に原稿を発表している。本科研主宰の対面研究会として、第3回「1968年と宗教」シンポジウムおよびワークショップ「オカルティズムと現代スピリチュアリティ――最新の研究動向」を開催し、本科研関係者としては、前者は栗田、後者は栗田およびヤニス・ガイタニディスが発表、クラウタウが司会を担当した。 国際的な研究実績としては、まず本科研の主催により国際シンポジウムA Century of Usui Reiki Ryoho The History, Present, and Future of a Global Japanese Spiritual Therapyを開催し、ガイタニディスおよび栗田が発表者へのコメントを担当した。またガイタニディスが英文単著『現代日本のスピリチュアリティと代替性』(Bloomsbury Academic)から刊行し、クラウタウがスウェーデンのワークショップで日本の戦後オカルトについて招待報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集・目録作成・アーカイブ化作業に関しては、栗田担当の『日本心霊』については完了したが、吉永進一氏蔵書の目録作成作業については、コロナ禍の制限や作業スケジュールの逼迫のため、次年度に持ち越さざるをえなかった。クラウタウ担当の修養・密教関連資料の目録作成は、コロナ禍による制限もありながら、順調に進んでおり、このまま継続することで予定していたものを来年度に完了できる見込みである。 国内向け成果発表についてはおおむね滞りなく行われており、雑誌論文、論文集、翻訳書など続々と公刊されている。このまま継続していけば特に問題はないと思われる。 海外向け成果発表については、コロナ禍の制限のためにオンラインではあったが、予定していたレイキ国際ワークショップも完了した。国際化に関しては、国際学会への参加などを新たな計画に組み込んで継続していくことになる。 総じていえば、昨年度に引き続き、コロナ禍により資料収集、フィールド調査、対面研究会に制限があったが、その分、研究作業に集中して、論文や書籍の出版を通じて成果発表を大きく進めることができた。また、後期から年度末には対面研究会を開催できたことも大きい。残された大きな課題として、吉永進一氏蔵書目録の作成があるが、それ以外はおおむね順調に進んだと言ってよい。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍に加え、研究分担者であった吉永進一氏が亡くなったことで、さまざまな計画変更を余儀なくされたため、残り作業と新たに追加された課題のため、さらに一年度分の延長を申請して受理された。 4年目の新規課題は、第一に吉永進一氏蔵書の目録作成である。これについては年度前半には予備調査(写真撮影)を終わらせ、作業員を雇って目録作成に本格的に着手する。年度後半には追加調査を行い、作業を完了させる。また国際化に関して、2023年度はエソテリシズム研究の国際学会ESSWEに、本科研の代表者及び分担者の全員が参加することを決定した。 継続中の目録作成作業については、前半のうちに『密厳教報』および『修養世界』の残作業を完了し、『加持世界』に着手して完成を目指す。可能であれば藤田式息心調和法関連雑誌などその他の近代仏教・民間精神療法関連資料の目次取り作業に着手して完成を目指す。またこれまで作成した目録の公開を進める。また、民間精神療法関係資料の集成については、前年度から延期になった『術と行の近代の近代―精神療法・霊術・宗教 第2回配本』の刊行を一つの目標とする。 成果発表としては、栗田による単著『静坐する近代』の刊行を目指す。
|