研究課題/領域番号 |
20K00086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
篠原 啓方 関西大学, 文学部, 教授 (90512707)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 朝鮮 / 韓国 / 朱子学 / 儒教 / 家礼 / 葬 / 墳墓 / 碑 / 士大夫 / 墓制 / 石碑 / 朱子家礼 / 儒葬 / 朝鮮時代 / 15世紀 / 神道碑 / 墓碑 / 墓 / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
朝鮮時代は朱子学を国の思想的根幹とし、その教えは日常生活全般に及んだが、本研究はいわゆる朱子学の導入期とされる14~15世紀における朝鮮時代の士大夫墓と、朱子学の文献に言及される墓と葬礼のあり方とを比較し、伝統的な墓から儒教的な墓へと変化していく様相を明らかにするものである。同分野の研究には①墓の地上構造(石造物)=美術史、②地下構造(埋葬空間)=考古学、③マニュアル(儀礼書)=思想史などがあるが、本研究では、近年ようやく成果が出始めた①・②と、やや単純な内容の比較に終始してきた③を領域横断的、総合的に検討する。
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研究成果の概要 |
14世紀末~15世紀の朝鮮における儒教式の葬儀の受容のあり方を検討するため、ソウル・京畿道地域における被葬者の死亡年・埋葬年が明確な211基の士大夫墓を調査した。墓の墳丘は15世紀半ばを境に方形から円形へと変化し、石造物が登場した。儒葬の方法を定めた『朱子家礼』との比較から見ると、遺骸を収める空間の周囲に石灰を充填する例や、墓碑に見られる葬儀の期間から、儒葬が部分的に実践されていたことが分かった。 一方で、文献史料には士大夫層の儒葬に関する言及がほとんどなく、議論の対象にはなっていなかったことを示唆する。士大夫層は墓を重視し、個別的かつ可能な範囲で、儒葬を実践していたものと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
葬礼の変化は、宗教観・死後の世界観に影響を及ぼした結果と言えるが、高麗時代末~朝鮮時代初期の士大夫墓は、『朱子家礼』の完全な模倣ではなく、朝鮮独自の歴史的・文化的な文脈が反映し、変容した姿を見せる。本研究は、近世東アジアに広がった朱子学の文化が、各地でどのように解釈され、現地化していくのかを明らかにする方法の一つであり、東アジア文化の普遍性と独自性を理解し、文化の多様性と共存を助長していく上で示唆するところが多いと考える。日本においては近年、近世大名墓における朱子学の影響に関する研究が進んでいるが、これらとの比較研究にも一定の貢献をなすことが期待される。
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