研究課題/領域番号 |
20K00095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 朋子 金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (70613876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 精神分析 / 応用精神分析 / 転移 / 逆転移 / 経験概念 / S・ヴィデルマン / デリダ / ジークムント・フロイト / ポスト構造主義 / セルジュ・ヴィデルマン / 分析空間 / ジャン・ラプランシュ / 幻想(空想) / フロイト / 構造概念 / フランス / フロイト派 / 情動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、20世紀後半にフランスで活動したフロイト派の分析家における構造概念の用法とその特徴を明確にし、臨床実践と人文学研究の接続領域としての応用精神分析にその概念がどのような展開をもたらしたかを明らかにすることをめざす。そのために、①構造概念の用法にかんして、精神分析の他の学派や同時代のフランスの哲学者や文学研究者との比較研究を行う。②A・グリーン、J・ラプランシュ、N・アブラハムをはじめとする上記フロイト派の代表的な分析家による応用精神分析の試みと思索について研究し、情動をめぐってフロイトがすでに提起していた問題について、彼らがあらたに提示、あるいは開発しえた論点の明確化にとりくむ。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、20世紀後半にフランスで活動したフロイト派(以下、仏フロイト派と表記)の分析家による構造概念の用法とその特徴を明確にし、臨床実践と人文学研究の接続領域としての応用精神分析にその概念がもたらした展開を明らかにすることにある。その目的のもと、2022年度はまずS・ヴィデルマンのテクストについて彼の主著『分析空間の構築』(1970年)を中心に読解と分析を進めた。臨床実践をめぐる彼の言説から、転移および逆転移の力動性と精神分析実践の枠を相互規定的な関係においてとらえる観点を析出し、分析実践の枠のなかで可能になる「経験」の観念がその観点によって規定されていることを明確にし、その明確化を踏まえて、精神分析的な意味における「経験」の可能性の条件という問いの提起にとりくんだ。成果を論文で発表する準備を進めた。また、ヴィデルマンの仕事を契機として仏フロイト派内で展開された議論のうちN・アブラハムの仕事に注目し、精神分析的経験という特殊な問いを一般化する可能性が彼の「双数的統一」(1975年)という観念に示唆されていることについて見当をつけた。 2022年度はまたJ・デリダの講義録の翻訳に従事し、その作業をつうじて得られた知見の一部が上記の目的の達成に資しうることを確認した。とくに『生死』(1975年から1976年にかけて行われた講義の記録)におけるデリダのフロイト読解が、臨床実践にたいする応用精神分析の位置と意義を再規定する可能性を含意していることを仮説として定式化した。同書をめぐるワークショップを企画、運営し、研究成果の一部を発表した(2023年4月開催)。またデリダによる精神分析の応用の具体例を示した小論を執筆した(2024年刊行の書籍に収録予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画作成時に予定していなかった複数の業務があり、かつそれらに優先的に従事する必要があり、発表を準備する時間を中心に全期間にわたり研究時間を十分に取ることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
S・ヴィデルマンの仕事にかんする研究成果を論文として発表する。 N・アブラハムが1968-1975年に執筆したテクストを読解し、精神分析実践(狭義におけるとともに応用精神分析を含む広義におけるそれ)にかんする彼の思索の特徴を考察する。 仏フロイト派の理論的平面での活動との関連においてデリダによる精神分析受容の特徴を考察する。
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