研究課題/領域番号 |
20K00097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 名城大学 (2022) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
門 亜樹子 名城大学, 経済学部, 准教授 (20791916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | バルベラック / アダム・スミス / ジャン=ジャック・ルソー / 娯楽 / 労働 / 余暇 / 自己愛 / 啓蒙 / キケロ / 義務論 / トマス・リード / スコットランド啓蒙 / 哲学史 / キリスト教 / 啓蒙主義 / ティロットスン / 敬神 / 道徳思想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、18世紀前半に活躍したカルヴァン派の自然法思想家ジャン・バルベラックの道徳思想が、古典派経済学の母胎となったスコットランド啓蒙においてどのように継承・展開されたのかを解明することである。本研究では、(1)本邦未紹介のバルベラック『娯楽論』(1709年)の全容と宗教的・思想的背景の解明、(2)バルベラックの道徳思想の基礎にある宗教思想(とりわけ敬神概念)の分析、(3)バルベラックとスコットランド啓蒙の主流派知識人(牧師)との敬神概念の比較検討を実施する。
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研究実績の概要 |
(1)昨年度に引き続き、バルベラック『娯楽論』第1編第3章後半の翻訳の修正作業および注記で引用されている諸文献の調査を行った。併せて、自己愛(利己心)の系譜に関する18世紀の一次文献および二次文献の調査・収集を行った。 (2)研究課題に関連する研究報告「ジャン・バルベラック『娯楽論』研究――労働・余暇・自己愛――」(名城大学経済・経営学会研究会、2022年10月20日)を行った。報告の概要は以下の通りである。1.バルベラックの著作『娯楽論』(1709年)の構成および背景、娯楽(jeu)の定義および種類を紹介した。2.娯楽を労働の余暇として肯定するバルベラックの論理(『極楽論』で示された啓示と理性の一致)を提示した。3.『娯楽論』に登場する二種類の自己愛(amour propre)――慈愛の源泉としての自己愛(「残酷な娯楽」の一例として取り上げられたロープ・ダンサーとの関連で言及されている)と傲慢の源泉としての自己愛(自己評価論の文脈で言及されている)――に着目し、バルベラックのキリスト教的人間像に啓蒙主義への接近が見られることを指摘した。4.バルベラックの自己愛概念の展開の展望として、ジャン=ジャック・ルソーの『人間不平等起源論』における二種類の自己愛、アダム・スミスの「同人たちへの手紙」(『エディンバラ評論』所収)におけるルソー評、トマス・リードのケイムズ卿宛書簡におけるスミスの共感概念の批評等を取り上げた。 (3)研究課題に関連する事典項目「義務論(キケロからの展開)」(日本18世紀学会、啓蒙思想の百科事典編集委員会編『啓蒙思想の百科事典』丸善出版、2023年1月、202-203ページ)が公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度より所属機関が変更になり、異動の準備および研究環境の変化に伴い、バルベラックの『娯楽論』翻訳の修正作業に遅れが生じた。一方、18世紀の自己愛概念の系譜の研究において必要となる一次文献および二次文献の調査・収集を進めた。全体の進捗状況としては「やや遅れている」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の四年目であり、引き続き『娯楽論』第1編の訳文修正作業を進めてゆく。本年度の研究で示された18世紀の自己愛概念の系譜の展望に基づき、収集した一次文献および二次文献の精読と分析を行う。研究の遂行によって得られた知見を基に、論点の整理に努め、研究成果を論文または著書の形で公表することを考えている。
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