研究課題/領域番号 |
20K00099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
出村 和彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 特命教授 (30237028)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アウグスティヌス / 人文学 / humanitas / 罪 / ハンセン病 / 夏目金之助(漱石) / Humanits |
研究開始時の研究の概要 |
(概要) Humanitasというラテン語は、人間性、教養、人文主義というような語義を持ち、ヒューマニズムの語源とも見なされる。この語は元来、古典文学そして古代キリスト教思想という西洋の人間理解の根底的特徴を成すものである。 本研究は、古代末期におけるhumanitas概念を、古典とキリスト教の両方の原典に基づいて思想史的に解明することを目的とする。古典のキケロ(前1世紀)から始め、ラテン教父たち、とりわけアウグスティヌス(354-430)における人間の弱さや罪を見つめるhumanitas概念の革新についての精査を通じて、古代末期の源流思想から人類共通のhumanitas概念を洗い出す。
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研究実績の概要 |
本研究は、古代末期におけるhumanitas概念を、古典とキリスト教の両方の原典に基づいて思想史的に解明することを目的とする。古典のキケロ(前1世紀)から 始め、ラテン教父たち、とりわけアウグスティヌス(354-430)における人間の弱さや罪を見つめるhumanitas概念の革新についての精査を通じて、古代末期の源 流思想から人類共通のhumanitas概念を洗い出すものである。 本年度も、最新の研究状況をフォローアップし、様々な資料を目配りして検討すべき資料の補充を図った。特にラテン教父ヒラリウスの研究に考察範囲を広げてここを研究進展の新たな突破口とすべくに、その資料も集めた。ただし、コロナ禍により、海外に出張して資料を直接手に取って検討したり対面での討議は滞った。 『神の国』第11巻から14巻テクストを精査し、原初の人間を(女と男の)「人間たち」という複数形で一貫して見据えるアウグスティヌス の「革新的」な人間観 を確認し、その成果を「楽園の人間学」というタイトルでの前年度の口頭発表を基に、「心」の人間学の研究構想を深めた。 アウグスティヌスに至るラテン教父の思想系譜を再検討し、特にポワティエのヒラリウスとの関係を精査した。これは新版「キリスト教大辞典」のヒラリウスの項目として公刊される予定である。これを踏まえて、「欲求と意志と心の癒し」という観点からギリシア哲学からアウグスティヌスへの展開を考察するシンポジウムや国際学会発表を準備した。 また、ハンセン病者の生き様から浮かび上がる「哲学」にも光を当てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19感染症の広がりがなかなか収束せず、参加を予定ていたシンガポールでの国際学会が突然も延期されて、思うように出張もできなかったため。ただオンラインによる研究交流も取り入れて事態は改善しつつとはいえ、こちら側の新たな資料の読み直しに予想外に時間がかかっているので、やはり研究課題の完結に向けてはやや遅れている言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
23年度末まで課題研究期間を延長したことにより、研究交流の停滞はできる限りオンラインを活用する等で解消して、通常に近い形での研究推進へ戻す工夫をしつつ、手元にこれまで集めた資料を活用して、その 読解や分析の作業により集中する。さらに、国内でのセミナーと昨年延期された国際学会での成果の発表を実現し、最終年度の研究のまとめを図る。
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