研究課題/領域番号 |
20K00106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
池亀 直子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (10359698)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 能力評価 / 天才 / 独創性 / 想像力 / 優生思想 / 共感 / 趣味 / 新マルサス主義 / 芸術的才能 / 優生学 / 障害の美学 / 美的人間学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近代社会における人間の能力評価における社会的排除と社会的包摂の問題を、障害、生産性、芸術的才能、優生思想などのキーワードから明らかにしていく芸術教育思想史研究である。研究期間中に、英国と日本の近代社会における能力評価の思想史について、能力評価にあたっての障害の位置づけや優生思想の影響に関する史料の分析から明らかにする。そのうえで美的な観点からの能力評価と社会的包摂について考えていくことにより、「障害の美学」および「美的人間学」という人間形成の新たな展望を見出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は近代社会における人間の能力評価における社会的排除と社会的包摂の問題を、障害、生産性、芸術的才能、優生思想などのキーワードから明らかにして いく芸術教育思想史研究である。 期間中に、英国における障害と芸術的才能を中心とする能力の評価、英国の断種法の展開と優生思想の教育政策への影響、日本の学校教育、芸術教育における優生思想の影響等について検討し、社会的排除から社会的包摂に向かう「障害の美学」ないし「美的人間学」の展望を見出すことを予定している。 研究4年目にあたる2023年度は、COVID-19の影響で 2020年度、2021年度、2022年度と3年連続で海外渡航が不可能であったことを受け、研究期間を延長し、一部に変更を加えた研究計画に沿って実施した。 2023年度はロンドンに渡航し、1.英国における芸術的才能を中心とする能力評価についての資料、2.新マルサス主義およびJ.S.ミルに対するロマン主義の影響に関する資料、3.コールリッジにおける「障害の美学」に関する資料、4.美的人間学の構築における芸術的想像力の可能性をめぐるD.ヒュームおよびコールリッジほかロマン派詩人に関する資料などについて収集を行なった。 また2022年度までに収集した資料の分析に今回新たに入手した資料を加え、能力主義と優生思想の問題を今日のアートシーンにおける差別と他者のアイデンティティの否定に繋げて考察した。表現の自由と人間の評価をめぐる美的判断と道徳判断の軋轢に対し、芸術的な想像力が果たす役割を社交・社会的共感における「趣味の想像力」の思想史研究から検討し、学会誌に論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で3年連続で海外渡航ができず、英国での資料収集および未公刊草稿等の撮影が行えずにいたが、2023年度に渡航が叶い状況が改善した。ただし全ての資料の分析と研究成果公開は終了していないため、全体の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間をさらに1年延長し、2022年度に行なった新マルサス主義(教育的マルサス主義)の思想史的背景およびロマン主義思想の影響の検討について、2023年度に収集した資料の分析を加えたうえで成果公開を目指す。 そのうえで2024年度を研究の最終年度と位置付け、近代社会の能力評価と芸術的才能をめぐる優生学と障害の美学に関する思想史研究の最終成果報告をまとめることとする。
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