研究課題/領域番号 |
20K00107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
折井 善果 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (80453869)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 蓋然説 / 日本キリスト教史 / 宣教史 / カトリシズム / キリシタン / サントスの御作業 / スペイン / Probabilism / イエズス会版 / キリシタン版 / 宣教 / マルティン・デ・アスピルクエタ / イエズス会 / インテレクチュアルヒストリー / インテレクチュアル・ヒストリー / 思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、16世紀前半以降ヨーロッパ神学において発達したいわゆるProbabilism(蓋然説)と、宣教活動の前進とカトリック自然法・教会法の遵守との間の葛藤から生じたDissimulation(偽装)、Mental reservation(内部留保)、Equivocation(惚け)と名付けられる精神的行為との相関関係を、日本宣教の事例を通じて明らかにすることにある。検討する在南欧当該資料は日本の迫害下における司祭身分の偽装の是非、日本人奴隷の合法化・非合法化の是非に関する興味深い内容を含む。破損・散逸の危機に直面しているこれら資料の整理・保存も本研究の柱となる。
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研究成果の概要 |
16世紀後半以降カトリック神学において確立していった「蓋然説」は、日本の宣教活動において、宣教師が、過去の事例では判断できないような行為の善悪の判断に迫られた際の、有力な神学的道標として機能しており、かつ、彼らの内的道徳的ジレンマに対する心理的な安寧としても機能していることが明らかになった。 また、期せずしてパリで存在が確認された日本イエズス会版『サントスの御作業』(1591)の分析の結果、同書に見られた書き込みが、レバント地方を含む東洋諸語との比較という視点を伴ってヨーロッパで日本語が研究された、非常に初期の例であることが確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が行った「蓋然説」と「宣教」の相関関係についての分析を通じて、わが国のいわゆる“キリシタン史”研究を、近世初期のグローバルな思想史研究に接合する方法を提示することができた。また、神律との強い葛藤を根源とする「告解」という行為の思想史的理解は、殊に我が国においては、西ヨーロッパ言語文化とその精神性の深い理解、ひいてはその根底にあるキリスト教思想のリテラシーの向上という意味において、我が国の思想史研究の発展にとって意義があったと考える。さらに、これまで分析されたことのなかった在外資料を国内外に広く公表した点においても意義が認められる。
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