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ピューリタニズムの寛容論から構築される多文化共生の今日的原理

研究課題

研究課題/領域番号 20K00108
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01040:思想史関連
研究機関東京女子大学 (2022-2023)
国際基督教大学 (2020-2021)

研究代表者

森本 あんり  東京女子大学, その他部局等, 学長 (10317349)

研究分担者 岩井 淳  静岡大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (70201944)
竹澤 祐丈  京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60362571)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード寛容 / 宗教間対話 / ピューリタニズム / イスラム / 過激化 / アメリカ / 世俗化 / 近代啓蒙 / ピューリタン / 新渡戸稲造 / アメリカの恩寵 / 初期アメリカ / 先住民 / イスラーム / イングランド
研究開始時の研究の概要

本研究は、ピューリタニズム寛容論の歴史的な変遷から多文化共生の今日的原理を析出することを目的としている。一般に不寛容と見なされがちなピューリタニズムは、世俗的要請からではなくまさにその宗教的信念から、寛容や良心の自由などの原理を生み出してきた。その内発的な発展の過程は、過激化する今日の宗教的対立に新たな参照枠を提供することができる。多文化が共生するためには、従来のリベラリズムが要請してきた公共空間の世俗化という限界を越えて、宗教に内在する論理の延長線上に寛容論を展開することが不可欠だからである。

研究成果の概要

現代までの主要な寛容論を類型化することで、時代や文化を越えて適用可能な寛容論を構築する可能性を模索した。類型化には限界もあるが、寛容の成立要件や内在的な矛盾にはある程度の共通性があるため、1「哲学者の回廊」型、2「原理分析」型、3「リベラリズムの問い直し」型、4「歴史的範例」型という四類型を抽出することが可能と判断された。また、20世紀の冷戦構造の発端を欧米のイランへの関与から読み直し、1979年のイスラム革命から9.11を経て今日に至る21世紀の世界をグローバルな宗教対立の激化という観点から再解釈した。イスラム社会では寛容の概念が中世的な枠組みで受容されていることも明らかになった。

研究成果の学術的意義や社会的意義

寛容論は一方で現代リベラリズムの枢要徳と見なされながら、他方で特にイスラム圏を含む非西洋世界では近代啓蒙思想の押しつけと受け取られており、容易に架橋しえない見解の対立がある。そのため、時代や文化の相違を越えて適用可能な寛容論の類型は、異なる視座をもった人びとに共通の議論の土台を提供することができる。従来の近代化論は宗教の衰退を歴史的必然と想定してきたが、これも現代世界の実情に背馳しており、その過激化しやすい熱情を内在的に理解することの重要性も認識されるようになった。寛容論はいずれの文化においても他者受容の前提とされており、その原理を深く理解できれば対立ではなく包含を奨励することに有益である。

報告書

(5件)
  • 2023 実績報告書   研究成果報告書 ( PDF )
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (39件)

すべて 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 1件、 招待講演 14件) 図書 (10件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 「英米のピューリタニズムとコモンウェルス」2023

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 雑誌名

      『ピューリタニズム研究』

      巻: 17 ページ: 3-15

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「時代に媚びず」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 雑誌名

      日本私立大学連盟編『大学時報』

      巻: 406 ページ: 10-15

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「「臨床講義」の今日的意義――20世紀前半の台湾文化協会と民族運動」2022

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 雑誌名

      静岡大学人文社会科学部『アジア研究』

      巻: 17 ページ: 3-8

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『オシアナ』における統合と拡張─ジェームス・ハリントンの属州論における平等性の観点から─2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 雑誌名

      『立命館法学』

      巻: 2021年第5・6号 ページ: 508-539

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「宣誓と詐欺――真実をめぐるアメリカ的伝統の逆説」2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 雑誌名

      ひらく

      巻: 5 ページ: 36-43

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] The Passions and the Interests: An Edwardsean Understanding of Populism2020

    • 著者名/発表者名
      Anri Morimoto
    • 雑誌名

      Jonathan Edwards Studies

      巻: 10 ページ: 202-207

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 「今井宏『イギリス革命の政治過程』―「宮廷」対「地方」論の意義と 限界―」2020

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 840 ページ: 5-15

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 寛容の捻れと現代アメリカのリベラリズム――枢要徳の困惑2023

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      同志社大学アメリカ研究所秋期公開講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 米国社会の分断――寛容論から見たリベラリズムの失敗2023

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      鹿島平和研究所 国際政治経済研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「ブリテン近代史研究の3つの焦点――千年王国、複合国家、歴史教育」2023

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      岩井淳先生退職記念シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「共存の哲学としての不寛容論」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      三菱UFJ信託銀行次世代経営リーダー研修
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「理解できない人々と共存するには――初期アメリカの歴史的経験に学ぶ」2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      フェリス女学院大学・キリスト教研究所講演会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「梅田百合香『ホッブズ リヴァイアサン』に関するコメント」2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 学会等名
      経済学史研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「J・G・A・ポーコックの複合国家論の特徴とその可能性」2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 学会等名
      第47回 日本イギリス哲学会 研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「三つのブリテン革命再考――独立革命期におけるピューリタン革命・名誉革命の受容」2022

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      イギリス革命史研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「リベラリズムの完成と陥穽――ニーバーからハゾニーまで」2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      「文明構造の転換と日本の戦略」研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「不寛容論――アメリカが生んだ『共存』の哲学」2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      研究・イノベーション学会」国際問題分科会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「『不寛容論』を書いて分かったこと」2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      初期アメリカ学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「分断と陰謀論のアメリカ――ポスト・トランプの時代に」2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      修学院フォーラム
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「20世紀前半の台湾文化協会と民族運動――「臨床講義」の今日的意義」2021

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      シンポジウム「台湾夢2049――超現代臨床講義」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「「三つのブリテン革命」を考える――ピューリタン革命・名誉革命・独立革命」2021

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      初期アメリカ研究学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] ジョン・デイヴィス(1569-1626)のアイルランド論再考2021

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 学会等名
      日本イギリス哲学会関西部会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 誤れる良心の寛容論2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      宗教倫理学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] アメリカ史のアイロニー――リベラリズムの成功と失敗2021

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 学会等名
      日本基督教学会関東支部・九州支部合同支部会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ウェールズと合同問題―同化と異化、紐帯と地域連鎖―2020

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      科学研究費採択課題の研究会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 大学における複合科目の実践と「地域社会と歴史」2020

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 学会等名
      科学研究費採択課題の研究会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 冷戦と脱植民地化Ⅱ 20世紀後半 (岩波講座 世界歴史 第23巻)2023

    • 著者名/発表者名
      (編)荒川 正晴、大黒 俊二、小川 幸司
    • 総ページ数
      324
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000114332
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 改革が作ったアメリカ: 初期アメリカ研究の展開2023

    • 著者名/発表者名
      (編)佐久間みかよ、橋川健竜、増井志津代
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      小鳥遊書房
    • ISBN
      9784867800102
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] 『改革が作ったアメリカ――初期アメリカ研究の展開』2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      小鳥遊書房
    • ISBN
      9784867800102
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『キリスト教神学命題集――ユスティノスからJ.コーンまで』2022

    • 著者名/発表者名
      森本あんり
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      日本キリスト教団出版局
    • ISBN
      9784818411043
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『複合国家イギリスの地域と紐帯』2022

    • 著者名/発表者名
      竹澤祐丈
    • 総ページ数
      359
    • 出版者
      刀水書房
    • ISBN
      9784887084766
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『比較革命史の新地平――イギリス革命・フランス革命・明治維新』2022

    • 著者名/発表者名
      岩井淳
    • 総ページ数
      331
    • 出版者
      山川出版社
    • ISBN
      9784634672543
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] キリスト教神学命題集2022

    • 著者名/発表者名
      土井 健司、村上 みか、芦名 定道、島田 由紀
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      日本キリスト教団出版局
    • ISBN
      9784818411043
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 『資料と問いから考える歴史総合』2022

    • 著者名/発表者名
      岩井淳・岡田健・川喜田敦子・君島和彦・木村茂光・戸川点・日高智彦・茂木敏夫・安井崇・油井大三郎
    • 総ページ数
      222
    • 出版者
      浜島書店
    • ISBN
      9784834321043
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] ヨーロッパ複合国家論の可能性2021

    • 著者名/発表者名
      岩井 淳、竹澤 祐丈
    • 総ページ数
      356
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623090600
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 不寛容論――アメリカが生んだ共存の哲学2020

    • 著者名/発表者名
      森本 あんり
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      新潮社
    • ISBN
      9784106038600
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 日本ピューリタニズム学会

    • URL

      http://jpuritanism.com/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書 2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書 2020 実施状況報告書
  • [備考] 初期アメリカ学会

    • URL

      http://earlyamericanists.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書 2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書
  • [備考] 日本イギリス哲学会

    • URL

      https://jsbph.org/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書 2021 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2025-01-30  

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