研究課題/領域番号 |
20K00114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
橋本 一径 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70581552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 西洋思想史 / 科学史 / 蜜蜂 / 写真史 / 無知学 / 生物学史 / 個人主義 / 社会思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
人間社会を動物の集団に喩える例は多くの文化に見出すことができるものである。西洋においては「蜜蜂」がそのような例として重要な役割を担ってきた。自己犠牲的な行動が中世において社会の模範として語られてきた蜜蜂は、やがて私利私欲のままに行為する存在とみなされ、個人主義の時代になると、人間社会を動物に重ね合わせる議論自体が下火となる。ところが19世紀末になると、集団遺伝学などの議論において、動物たちの集団が人間社会の起源をなすものとして再び引き合いに出されるようになる。本研究はこの動物の「復活」を、社会を構成する単位の「個人」から「家畜」への変化と捉え、そのような社会にとっての正義のあり方を模索する。
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研究成果の概要 |
本研究の成果は以下の3点に要約することができる。 (1)2021年に発表した論文「社会的動物/家畜的人間 ミツバチの利他性をめぐって」において、西洋思想史における「蜜蜂」の議論をたどり直すとともに、社会生物学や集団遺伝学における議論を、その系譜に位置づけ直した。(2)論文「「産業的ドグマ空間」における神話的イメージとしての写真」(2023年)において、写真のイメージの制度的な機能についての考察を展開した。(3)科学のイメージ性について考察するため、「無知学」の知見を導入した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果の学術的意義はまず、生体認証による管理社会の進行すなわち人間の家畜化と、動物愛護の精神の発達すなわち動物の人間化を、表裏一体の現象として捉え、そのような社会はもはや個人主義によっては説明しきれないものとなっていることを示したことであり、この点の社会思想史的な意義は大きい。本研究また、写真のイメージが、現代における主体の形成に欠かせない神話的な機能を果たしていることを示した。これは難解で知られるピエール・ルジャンドルの「ドグマ人類学」を、具体例に即して明解化した点でも意義深い成果であると言える。
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