研究課題/領域番号 |
20K00121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
長谷川 章 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60250867)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロシア音楽 / 現代ロシア文化 / ロシア映画 / 現代ロシア / ポスト・ソビエト期 / ソビエト・ロック / ロシア映画史 / 現代ロシア・ポップカルチャー / ロシア・ポップカルチャー / ロシア・ロック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ソビエト期のロック・シンガー、ヴィクトル・ツォイ(1962- 1990)を取り上げる。1990年に夭折したツォイは死後30年の現在、様々な政治的文脈で引用されることが多い。現代ロシアでのソビエト期の芸術・文化表象は、どのように従来の解釈を改変され、新たな創作活動や政治的運動に利用されているのか。そのことをツォイを中心に探ることで、現代ロシアでの政治と芸術の関係性について明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究はソビエト・ポップ・カルチャーの中でも特に夭折した人気ロック・シンガー、V.ツォイ(1962-90)のイメージが現代ロシアでどのように受容され、文化的文脈を変更されていったかを究明することを目的とする。研究の結果、ツォイはロシアのリベラル派、ナショナリストさらにはウクライナ・ナショナリストにまで独自の解釈を施されアイコンとして利用されていることが明白になった。そこには、ペレストロイカ開始前に成年に達した「最後のソ連世代」の共通体験の影響がある。だが、一方でその世代がソ連後の世界で何を最優先の価値としたかがこれほどの改変の要因となった可能性があることを解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ソ連崩壊期から現代までの文化的変容やソ連期の文化的記憶の継承・改変については文学研究では積極的に扱われてきた。しかし、サブカルチャー的領域でのこうした改変は日本ではまだ例を見ず、本研究は学術的に先駆的と言える。またこの方面での研究を進めていくことは、ウクライナ侵攻で破局的段階に達したかのように映るロシアの現代文化が、一旦破局に向かいながらも実は多様性に満ちていたことを明らかにしていくことになる。現行の抑圧的体制からの文化的転換のあり方を考える上でも、有効な判断材料を提供するはずで、その点で社会的意義も有すると判断しうる。
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