研究課題/領域番号 |
20K00122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永由 徳夫 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (30557434)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 書論 / 書道史 / 書学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、江戸時代の書論を基盤として「日本書論史」という新たな学問分野の構築をめざし、その展開を探究するものである。 近世書論は流儀書道の保持をを念頭に置く〈和様書論〉と中国書論を摂取した〈唐様書論〉とに大別されるが、両者の関係についてはほとんど言及されていない。そもそも近世書論を〈和様書論〉と〈唐様書論〉に分類するのも、本研究の独自の観点である。〈和様書論〉と〈唐様書論〉における交流はなかったのか、「連関と対峙」の視点から包括的、もしくは双方向的に検証していく。「日本人の美意識とは如何なるものであるか」という観点より、新たな学問分野「日本書論史」を樹立し、その展開の様相を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究「近世書論を基盤とする「日本書論史」の展開」は、江戸時代における「日本書道史」の流れの中で、「書論」がいかにその基盤となり得たかを考究するものである。本研究の骨子として、「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」を課題として据えており、この課題を解明するために、〈唐様書論〉の解題を記述し、梗概をまとめる基礎的作業は必須である。 令和4年度は、藤堂龍山『学書辯』に焦点を当て、「藤堂龍山『学書辯』解題」(『群馬大学共同教育学部紀要 人文・社会科学編』第72巻)を執筆した。また、これと併行する形で、「城戸南華『書譚』考―〈書論史〉の嚆矢濫觴として」(『日本教育大学協会全国書道教育部門 研究紀要』第28集)、外岡北海『書学大概執筆』(『修美』第142号)、藤堂龍山『学書辯』(『修美』第143号)、巻菱湖『十体源流』(一)(『修美』第144号)等、近世の各書論について、概要をまとめた。継続的に梗概を発表することで、斯界に裨益するところがあったと考えている。 全国大学書道学会(静岡大会)にて「近世の学書における「撥鐙法」の受容と展開」の題目で研究発表を行った他、東京国立博物館・五島美術館・ふくやま書道美術館・香川県立ミュージアム・林原美術館等での鑑賞の機会を得、本研究を遂行する上で、多くの知見を得た。 また、主宰する書論書道史研究会では、田能村竹田『竹田荘師友画録』・市河米庵『米庵墨談』の講読を継続的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、前年度に引き続き、「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」を解明すべく、近世書論の解題を複数執筆した。また、全国大学書道学会(静岡大会)では研究発表を行った。 一方で、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、美術館・博物館における調査研究が計画通りに進められなかった点もある。 よって、日々の研究や学会での研究発表等については、一定の成果が挙げられたものの、実踏調査が予定通りには完遂できなかった状況に照らし、(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」は、補助事業延長が承認されたことから、令和5年度も研究を継続する。これまでの研究を踏まえ、引き続き基礎的作業を行うとともに、その展望を明示できるよう論文の執筆を行いたい。 美術館・博物館等での実踏調査も、社会情勢に照らし、感染対策を万全に施しながら、着実に行っていきたいと考えている。
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