研究課題/領域番号 |
20K00130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
岡田 恵美 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (60584216)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ナガ / インド北東部 / ポリフォニー / 歌唱文化 / 民謡 / 山岳民族 / マイノリティ / 少数民族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の核には「人はなぜ共に歌うのか」「人はなぜ労働しながら歌うのか」「歌を伝承することに,どのような意味があるのか」という根源的な問いが存在する。共に歌うという行為は日常的な営みであったが,生活様式や労働環境の変化により,消滅の一途を辿るか,或いは保存や上演を目的とした脱脈絡化した形で伝承されるようになった。だが本研究対象のインド北東部ナガランド州とマニプル州に暮らすナガは,南アジアでは稀少なポリフォニーの民謡を文字や楽譜等の書記伝承を伴わない口頭伝承で,本来の脈絡のまま継承してきた。本研究ではその音楽的構造や社会文化的脈絡を調査・分析し,ナガ社会における歌の機能や伝承状況を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の対象地であるインド北東部マニプル州では、令和5年4月より同州の多数派民族であるマニプリと、州政府によって指定トライブ(Scheduled Tribe 以下、ST)と認定されているクキとの間で、STの優遇政策(大学への入学枠といった教育面、公的機関への雇用枠、議会議席枠など)をめぐる民族間紛争が勃発し、武力衝突によって同州への入域が困難となった。令和5年度内には政情不安定で事態の沈静化に至らなかったため、同地域での調査が叶わなかった。 そこで隣接するインド北東部ナガランド州に居住するナガ社会を中心とした研究を推進した。特に、同州南部のモンゴロイド系山岳民族チャケサン・ナガのポリフォニックな伝統歌唱文化に関しては、前年度に現地研究者ヴェサト・テルオ氏(インド・ナガランド芸術大学)と共同で実施したペク県の農村部での現地調査資料(歌唱場面や村人へのインタビューを撮影した映像資料等)の分析を進めた。 こうしたナガの民謡におけるポリフォニックな音楽構造や歌詞のレパートリー、ナガの農村社会で伝承されている歌の機能と彼らの協働性や環境との相関性に関する論考について、今後刊行予定の学術図書に分担執筆したほか(令和6年度刊行予定)、「第134回 国立民族学博物館友の会 東京講演会」において、「人はなぜ共に歌うのか?―インド山岳民族ナガの伝統ポリフォニーと共生社会」と題して、研究者や一般を対象とした講演も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、本研究ではインド北東部マニプル州北部に暮らすナガの歌唱文化を主な対象としていたが、2023年4月より同州の多数派民族であるマニプリと、指定トライブのクキとの間で、STの優遇政策をめぐる民族間紛争が勃発し、年度内は政情不安定で事態の沈静化に至らなかったため、同地域での調査が叶わなかった。 だが、その分、隣接のナガランド州南部のナガに関する調査を推進することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマニプル州の社会動向を注視しながら、令和6年度に入域が可能となれば、同州北部に暮らすナガの民謡の音楽的構造や社会文化的脈絡を調査・分析し、ナガ社会における歌の機能と協働性について解明することを目的とした現地調査を実施する。ナガが多数派を占めるナガランド州では州政府主導の音楽振興政策や伝統文化の観光資源化が進み、近年は民謡に対する再評価や、音楽を媒介にローカリティが再生産される様相が顕著である。その一方のマニプル州ではそうした文化政策は実施されておらず、両州の比較を視野に入れながら、マニプル州のナガにおける民謡の伝承状況や歌唱文化に対する世代間の意識を明らかにしたい。 令和6年度中にマニプル州への入域が難しい場合には、ナガランド州南部のナガの歌唱文化の調査を更に進め、研究成果の発信に注力する。
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