研究課題/領域番号 |
20K00149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 淳子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40635132)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スペイン演劇 / スペイン内戦 / フランコの独裁制 / 検閲 / トラウマ / ポストフランコの劇作家 / 記憶 / 捕虜収容所 / 劇作家 / 独裁制 / 言論統制 / ポストフランコ |
研究開始時の研究の概要 |
スペインでは1975年まで独裁制が敷かれ、あらゆる出版物、演劇、映画などに検閲が義務付けられた。新憲法が1978年に制定され検閲が廃止されるが、すぐに内戦や独裁制を直截的に扱う作品が出てきたわけではなく、21世紀になってその数が急増する。本研究では、フランコの検閲を経験した作家、民主化への移行期に執筆を始めた作家、そして21世紀に活躍する、内戦や独裁制を知らない世代の作家という3つのグループを研究対象とし、彼らが自国の歴史上の負の遺産であるスペイン内戦およびフランコの独裁制を演劇作品においてどのように扱い、表現し、受け入れ、あるいは受け入れることを拒否しているのかを検証する。
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研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究成果の一つとして『21世紀のスペイン演劇』第2巻の刊行(2023年10月)がある。研究対象である劇作家ライラ・リポイ、フアン・カルロス・ルビオそしてヘスス・カンポスの問題作、スペイン内戦中および独裁政権下での孤児への虐待を描いた『迷子になったこどもたち』、国境、ナショナリズムと仮想敵をテーマにした『アリゾナ』、そして資本主義社会の歪みと膨張する消費社会を描いた『そして家は成長して……』を日本語に翻訳し、日本の読者に紹介できたことは大きな成果であると思う。 2024年3月にはスペインのマドリードに出張し、本研究の対象者である劇作家ヘスス・カンポス、フアン・マヨルガ、アルフレド・サンソル、フアン・カルロス・ルビオに加えて、独裁時代に弾圧されたフェミニストのリディア・ファルコンとも面談することができた。貴重な資料を揃えることができたので、それらをまとめて論文執筆に取り組む所存である。 2024年2月刊行の大阪大学外国語学部スペイン語部会の紀要に掲載された「(資料翻訳)アルフォンソ・サストレ作品に対する検閲報告書および関係書類(2)」をもって、ブエロ・バリェホとサストレの全作品の検閲報告書の翻訳を終え、スペインの独裁制下の検閲に関する本の執筆の準備を整えた。 2023年3月刊行の『国際演劇年鑑2023 Theatre Abroad 』では、20世紀前半の抑圧された女性たちを描いたライラ・リポイの『ティールーム』、内戦で銃殺されたガルシア・ロルカを主人公にしたフアン・カルロス・ルビオの『見知らぬ地で』に加えて、独裁時代を舞台にしたアルフレド・サンソルの『すべてのスペイン人を飲み込んだバル』と内戦後に口をつぐむスペイン人を象徴するかのようなフアン・マヨルガの喜劇『沈黙』の劇評を発表し、21世紀のスペイン演劇が過去の負の遺産に向き合う姿を明らかにした。
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