研究課題/領域番号 |
20K00151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小屋敷 琢己 琉球大学, 教育学部, 教授 (20404551)
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研究分担者 |
高科 真紀 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10723207)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 沖縄写真 / 沖縄経験 / アーカイブズ / 表象文化 / 戦後沖縄写真 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後の変容する沖縄社会をカメラとペンで記録した阿波根昌鴻(平和運動家)と比嘉康雄(写真家)を対象に、写真という「表現活動」の背景にある彼らの〈沖縄経験〉に焦点を当て、戦後沖縄写真の特質の一端を明らかにすることを目的とする。研究の遂行にあたり、二人の撮影メモや日記、手紙などの関連資料をアーカイブズ資源と位置づけ、その内容分析から、〈沖縄経験〉がどのように「表現活動」と結びついたかを検証する。近年、アーティストと市民が一体となったアート・プロジェクトが盛んに展開される沖縄で、本土と異なる地域固有の表現に着目した本研究は、今なお沖縄に横たわる諸問題に対する理解の深化に寄与するものである。
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研究実績の概要 |
本研究第一課題として挙げた、阿波根昌鴻資料調査(沖縄県伊江村)に関しては、新型コロナによる感染状況の推移のため、当該年度は、協同して参加している阿波根昌鴻資料調査会は、伊江村での全体での実施が見合わせられてきており、部分的には各グループ(目録班、蔵書班)に分かれて、資料を伊江村外に持ち出せる分は数回実施がなされてきたが、本研究の調査対象である写真資料(ネガ等)は、わびあいの里により伊江村外への持ち出しを制限していることから、現地での調査を実施することができなかった。 阿波根昌鴻資料及び戦後沖縄史と関連する調査研究としては、国立国会図書館、沖縄県立図書館などで、主に戦後新聞資料(朝日新聞、琉球新報、沖縄タイムス等)を調査し、必要な箇所のコピーを収集した。また、この資料の分析を行った。また、戦後の文化運動に関わる展示の視察も行った(町田市立国際版画美術館、直方谷尾美術館、田川市美術館、飯塚市歴史資料館、中津市立小幡記念図書館)。あわせて、デジタルアーカイブの取組について聞き取りも行った(「炭都の記憶」関連写真データベース)。 本研究第二課題として挙げた〈沖縄経験〉の歴史的検証では、〈沖縄経験〉と関連する戦後表象文化として、沖縄移民のルポルタージュ『眉屋私記』の著者・上野英信(筑豊文庫)の資料調査の一環で、資料の保存状態の調査を実施した。 また、戦後〈沖縄経験〉と関連する文化人として火野葦平がおり、その残した資料について令和2年度に引き続き、北九州分学館にて、1954年に火野が撮影した311コマのネガをスキャニングし、デジタルデータとして保存・整理の作業を実施した。 さらに、これまで収集・整理してきたデジタルデータ(阿波根昌鴻資料)を、メディアの要請に従って、権利者であるわびあいの里の依頼の元で提供を行ってきた(『沖縄タイムス』2023年1月10日付~1月24日付)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記「概要」にも記した通り、令和4年度は前年度に引き続き、新型コロナ感染状況及び行政による感染症対策として、伊江村への渡航制限等があり、また資料の所有者による制限等もあわせて、本研究の遂行が困難な状況が続いた。 しかしながら、これまで調査収集してきた資料データを分析し、関連書籍や展示データ等を研究し知見を深めることができた。 同時に、収集したデータを整理して、次年度に報告や発表できるよう準備を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
伊江村での阿波根昌鴻資料に関する調査を実施できるよう、新型コロナ感染状況にも留意しつつ調整する。阿波根昌鴻資料調査会とも協力し、その調査方針を踏まえながら研究を進めていく。 〈沖縄経験〉に関連する表象文化の研究を進めるため、県内外の資料調査、関係者への聞き取り調査等を踏まえ、新聞記事や論文として発表し、学会(日本オーラルヒストリー学会)や研究会などで報告する準備を進める。
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