研究課題/領域番号 |
20K00156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小菅 隼人 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 教授 (40248993)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 暗黒舞踏 / 北方舞踏派 / 鈴蘭党 / ビショップ山田 / 土方巽 / 大野一雄 / 笠井叡 / BUTOH / 舞踏 / 雪雄子 / 現代演劇 / Butoh / 地方と中央 / 東北・北海道 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は,1950年代末に東京で「暗黒〈舞踊〉」として始まり,「(暗黒)舞踏」として世界に広がって,現代を代表する身体表現として認知されるに至った舞踊芸術について,①都市性と地方性の対立と共存という点に着目し,その発展史を踏まえつつ,現地調査と証言に基づいて,本質的構造と対他的価値を明らかにし,②それを論拠とした舞踏分析に基づいて国際学会で議論を喚起し,舞踏学の国際的展開を推進することにある.
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研究実績の概要 |
本研究「暗黒舞踏を芸術的カテゴリーとして確立するための実証的研究」は,暗黒舞踏およびその背景事象を扱うが,特に北方舞踏派と鈴蘭党に着目している.2022年度は,まず,①鈴蘭党のメンバーであり,現在は,舞踏活動を行っていない鈴木美紀子に連絡がつき,インタヴューが出来たことが大きな成果であった.次に,②舞踏における女性の役割をたどるという意味で,従来から積極的に女性舞踏家にインタヴューを続けてきたが,京都在住の舞踏家である今貂子氏と対談が出来たのは大きな成果であった.さらに,③コロナ禍が落ち着いてきた2022年12月,英国ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで行われた研究会に参加し,招待発表を行えたことは大きな成果であった. 論文・研究会以外の活動としては,現役最年長で土方巽,大野一雄とともに舞踏を創設した笠井叡による舞踏公演「今,ショパンを踊る」を企画し,2022年10月19日,慶應義塾大学日吉キャンパス来往舎イベントテラスで実行できたことは大きな成果である.これについては,単に公演を企画しただけではなく,研究上の資料として,公演直後に笠井叡と小菅隼人の対談による映像録画を行った.公演自体はコロナ対策のため,50名を上限としたが,この資料は,2023年1月21日の土方巽命日に毎年開催される「土方巽を語ること」(慶應義塾大学三田キャンパスGーSEC)において上映され,約30名の参加者と共に質疑応答をおこなった. その他,本研究者の担当する慶應義塾大学設置の授業「舞踏学」の枠組みを使って,南米コロンビアのロス・アンデス教授の授業において,芸術学を専攻する学生たちへのオンライン講義と対話を行った.これは本研究の成果の一部公開として行われ,海外の学生たちの反応を知ることが出来た.このような形での成果公開も,2023年度に続けてゆきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によって,2022年8月の国際演劇学会(IFTR)の発表をキャンセルせざるを得なかったことが理由である.それ故に,研究成果の国際公開と海外の研究者との議論が出来なかった.それ以外の研究は順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年7月にアフリカ・ガーナで行われる国際演劇学会(IFTR)において,特に暗黒舞踏の土台を作った笠井叡についての研究発表を行い,研究交流を進める予定である.この発表についてはすでに受理されている. 本研究の主要な方法である,舞踏家へのインタヴューについては,大須賀勇,玉野黄一などの草創期の舞踏家と共に,川口隆夫などの若い舞踏家へのインタヴューを進めてゆきたいと思っている. 舞踏家を招いて,実際の公演とそれについての対談を行うことは本研究の手法の一つであるが,2023年度は6月に上杉満代,多田正美,曽我傑による公演を慶應義塾大学で行い,併せてインタヴューも行う. 慶應義塾大学設置講座「舞踏学」を利用して国際交流を進めるつもりであるが,特に南米との交流を推進する.具体的には,コロンビアのロス・アンデス大学のベッツイ教授との交換講義をしたいと考えている. 最終年度として,成果公開のために,いくつかの出版社に出版を打診中である.
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