研究課題/領域番号 |
20K00165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
須藤 弘敏 弘前大学, 人文社会科学部, 客員研究員 (70124592)
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研究分担者 |
矢島 新 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (00565921)
近藤 暁子 山梨県立博物館, 山梨県立博物館, 学芸員 (80574152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 地方仏 / 北東北 / 信仰 / 仏像 / 地域 / 民間信仰 / 津軽 / 南部 / 地方 / 近世 |
研究開始時の研究の概要 |
「粗末」「稚拙」として軽視されてきた、中世から近世の東日本各地の「地方仏」について、造形としての積極的な意義を見いだすとともに、何がどう「地方的」なのかにこだわり、明確な問題意識を共有する地方の研究者自身が対比調査を重ねてその特質を明らかにする。 調査は東日本各地での現地調査を基本とし、得られた情報を地域の行政や博物館等にフィードバックし、文化財行政や研究に反映させたい。
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研究実績の概要 |
2022年度も研究分担者等が所属する公的機関の方針などもあり、東北地方以外での調査は難しかったため、北東北での調査に集中した。青森県内は八戸市、五所川原市、五戸町、七戸町、十和田市、鰺ヶ沢町、板柳町、南部町、外ヶ浜町の寺院等12箇所で仏像調査を行った。また秋田県湯沢市では須藤と矢島が三途川十王堂伝来の30余体の仏像調査を実施した。さらに岩手県でも須藤と矢島が奥州市江刺愛宕の朝日庵地蔵堂の十王像ほかを調査し、須藤が一戸町個人蔵観音菩薩立像、一関市藤沢長徳寺及び千厩の個人蔵聖徳太子像、八幡平市の個人蔵神像等を調査した。 2022年度最大の収穫は、研究代表者分担者協力者等ら5名により、岩手県葛巻町の宝積寺で行った六観音立像の調査である。本像は北東北で最も重要な近世地方仏であるが、これまで総合的な調査は実施されてこなかったので、今回の青森、東京、山梨、福島、岩手の研究者による合同調査と現地での検討会は大きな意味を持つ。6体を同時に並べて詳しい観察記録を行い、その状態、彫刻技巧の特徴、表現の差異など詳しく検討することを得た。その結果、あらためてこの六観音立像が地方仏としては屈指のすぐれた造形であり、彫刻技巧も他に例を見ない独特なものであることを確認した。北東北全体における近世の造像事情や表現のこだわりについて重要な指標となる本像の調査は本科研費による研究の中核となる。 これまで3年間の調査研究を踏まえて、全体の展望と地域や像種による特徴の把握につとめてきたが、それを一つの展覧会(「みちのく いとしい仏たち」展、盛岡、京都、東京開催予定)およびその図録という形で社会一般に公表できることとなった。これは研究成果の社会還元を最も理想的な形で実現し得たと自負している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者による調査研究はほぼ計画通り進行し、その成果も所期以上のものがある。 だが、研究チーム全体での合同調査は3年目に当たる2022年度に実施できたものの一度限りであり、未だ情報や研究の共有には不十分な点がある。また、分担者らはそれぞれの所属機関におけるコロナ対応のため、調査等にかなりの支障が生じ、2022年度までその影響が続いてきた。そのため、2023年度までの研究期間延長を申請するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
研究者相互の地域訪問による現地調査と複数の研究者合同の調査の実施し、これまで蓄積してきた研究情報の共有発展を期す。その上で、研究全体を総括するような考察を発表する。
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