研究課題/領域番号 |
20K00167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 千佳 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (50400198)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 祭壇画 / 協働 / 建築枠組み / 同信会 / 祭壇枠組み / 共作 / ヴェネツィア / 彫刻家 / 工房 |
研究開始時の研究の概要 |
15世紀後半から16世紀前半のヴェネツィアにおける祭壇画制作では、祭壇に設置される際の宗教効果を高めるために祭壇枠組みやその他付加的な構成物、礼拝堂建築との相互作用による堂内での視覚的効果が追求された。本研究は、祭壇装飾全体の形成過程において主題が効果的に受容される礼拝空間がいかにして創出されたのかを、画家と祭壇額縁職人、礼拝堂の建築家といった異なる分野の芸術家たちの協働の手法と実践の様相から考察するものである。これにより聖堂や礼拝堂において画家・彫刻家・建築家が協働することで果たされた都市の称揚に関わる装飾という当時の社会的役割を考察しながら、礼拝図像の形成と絵画制作との関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、同時期の祭壇装飾全体の形成過程の中で、主題が最も効果的に鑑賞者に受容される礼拝空間がどのように創出されたのかを、当時の宗教的背景のもと画家と石工などの祭壇額縁職人、礼拝堂を建造した建築家の協働という包括的な視点から解明するものである。とくに15世紀後半から16世紀前半のヴェネツィアの祭壇画制作では、祭壇に設置された際の宗教性を高めるために、祭壇画以外の要素である祭壇枠組みやその他の付加的な構成物、礼拝堂建築との相互作用によって礼拝堂空間内での視覚的効果が追求された。また15世紀半ば以降は、ルネサンス様式の導入にともなう建築によるヴェネツィアの都市装飾の刷新が行われ、都市のアイデンティティが再確認された時期にあたる。このため祭壇画の本質である宗教的機能の創出がヴェネツィアの15世紀半ばのヴェネツィアをとりまく宗教的環境とどのように連関していたのかという点を明らかにする必要がある。またその際、額縁職人として祭壇装飾に携わった石枠組み職人や木枠組み職人、およびパネル製作の木工、他地方から移住した建築家たちに共有されていた祭壇画制作の慣例や手法とその実践との関わり方についての包括的視点にもとづいて考察を進めることが必要となる。 本年度は昨年度に引き続き、ヴェネツィアの都市称揚とかかわる聖母主題作品を中心に分析を行った。とくに、礼拝図像が祭壇画として数多く制作されるようになる1470年代以降の諸作品のデータを収集し、祭壇画全体の制作過程について調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度末に予定していた海外での調査が、昨年度に引き続いて新型コロナウイルス流行にともなう海外渡航禁止措置によって中止せざるを得ず、次年度以降に延期して実施することとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今秋に実地調査を行い、祭壇画の現在の設置状況や周辺部、細部も含め写真撮影により記録する。ヴェネツィアの聖堂を中心に、現在ヴェネト州をはじめとする周辺地域の美術館に所蔵されている祭壇画を中心に調査を実施する。平行して一次史料の調査および読解 事例研究と並行して、ヴェネツィア国立サン・マルコ図書館および市立図書館、国立古文書館において聖堂および同信会組織や工房に関する一次史料を精読し、あわせて画家組合との関り方についても分析を行う。
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