研究課題/領域番号 |
20K00170
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
金井 直 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (10456494)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 彫刻 / モニュメント / 新古典主義 / 現代美術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近代社会におけるモニュメントの生成・流通の構造を、彫刻史の精査を通して分析するものである。研究は主に3つの角度から進められる。すなわち(1)現代のモニュメント論争の分析。(2)近代彫刻とモニュメントとの関連の分析。(3)近代的なモニュメント概念と彫刻概念が生起する新古典主義期の作例研究。これらを総合することで、(1)で論じるアクチュアルなモニュメント問題、すなわち表象の(不)可能性の起源が(3)の圏内に存することを指摘し、初期近代史研究の意義を明確にする。また、研究の総括として、現代美術作家を交えた関連シンポジウム等を開催し、情報を広く共有すると同時に、次の創造的実践の契機を提供する。
|
研究成果の概要 |
新古典主義期の彫刻《カノーヴァの墓》の分析を通して、近代的モニュメントの誕生の経緯や特質(作家性の後退とアレゴリーの復権など)を明らかにした。 また、ジュリオ・モンテヴェルデと大熊氏廣の制作活動を比較することで、近代日本のモニュメント受容の特徴、さらに銅像という日本特有のモニュメント概念登場の背景について考察した。他に、モニュメントの表象(写真や絵画)の問題や、現代の日本やシンガポールにおけるモニュメントへの創造的介入について検討し、多角的なモニュメント論を実現した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の彫刻史研究はモニュメントの生成・流通の構造を十分に説明するものではなかったが、本研究は新古典主義後期の彫刻作品の精査を通して、これを試みる点、学術的な意義大である。また日本近代のモニュメント受容を、G・モンテヴェルデ作品の調査をもってあとづける点も画期的である。近年、世界各地の多くのモニュメントが、その建立の歴史的経緯や、現今の政治的公正等の観点から批判・非難、さらには撤去の対象となっているが、そうした状況に対する彫刻史・美術史学からの応答、問題理解への礎としても、本研究の社会的意義は大きい。
|