研究課題/領域番号 |
20K00174
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
奈良澤 由美 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60251378)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 古代末期 / 初期中世 / プロヴァンス地方 / 彫刻 / 装飾 / 柱頭 / 擬古主義 / プロヴァンス / メロヴィング朝 / カロリング朝 / ガリア / イタリア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ガリア南東部と南西部の比較研究を中心に、資料化と年代比定を進め、初期中世の柱頭彫刻の状況の俯瞰的考察を試みる。4~6世紀、6世紀末~10世紀、11世紀のそれぞれの時代的特徴を導き出すこと、イタリアとの影響関係を検証すること、さらに柱頭以外の地元工房制作の彫刻群との関連性を検証することを課題とする。各地方が、古代の技術と装飾の記憶をどのように保持し、あるいは喪失したのか、初期中世彫刻についての新たな考察材料を提示することを目的としている
|
研究実績の概要 |
プロヴァンス地方の古代末期および初期中世の石造彫刻について、柱頭以外の彫刻の作例も含めて総括的な研究分析を引き続き行った。当該年度も現地調査は実施できなかったが、オンライン会議やメールを通して、エクス=マルセイユ大学、カミーユ・ジュリアン研究所、パリ第1大学などの研究者と意見交換を定期的に行い、調査資料や新しい知見を交換し合った。文献資料収集も継続。 プロヴァンス地方の柱頭については、ジューク(ブーシュ=デュ=ローヌ県)のノートル=ダム=ド=コンソラシオン礼拝堂の発掘から出土した柱頭、およびサン=パンタレオン小教区聖堂(ヴォークリューズ県)の再利用柱頭の年代を再検証し、古代末期の地方工房における柱頭制作について再考した。マルセイユのサン=ヴィクトール修道院クリュプタの「聖ラザールの洞窟」の柱頭の改変問題については、新たな着眼点による分析を進めている。 フランス南東部の初期中世の彫刻におけるアルカイスム(擬古主義)の問題意識について研究史を整理したが、特に問題となってきた埋葬モニュメント群の装飾と年代を再検証し、地方工房における彫刻技術、様式およびモティーフの問題について分析を進めた。ロゼット装飾と西ゴート美術について資料を収集し、年代比定についての問題点を明確にしていった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで海外渡航ができず、予定していた現地調査を行うことができない状況であるが、過去の調査資料と文献資料収集、さらに現地の研究者との情報交換から、ガリア南東部と南西部の比較研究、ガリア南東の4~6世紀、6世紀末~10世紀について時代的特徴を導き出し、柱頭以外の地元工房制作の彫刻群との関連性を検証することについて、ある程度の成果を得ている。11世紀の時代的特徴、さらにイタリアとの影響関係を検証することについては今後の課題となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
フランス南東部の古代末期および11世紀の時代的特徴を検証するために、ヴィエンヌ(イゼール県)サン=ピエール聖堂、トレ(ブーシュ=デュ=ローヌ県)サン=ジャン=デュ=ピュイ小聖堂、サン=レミ=ド=プロヴァンス(ブーシュ=デュ=ローヌ県)サン=ボネ=ド=ラゴワ小聖堂、リエズ(アルプ=ド=オート=プロヴァンス県)などの現地調査を予定している。 イタリアとの影響関係を検証するためには、イタリアの初期中世の柱頭に関する文献資料収集を継続する。可能であれば現地調査を行う。 最終的に論文にまとめる。
|