研究課題/領域番号 |
20K00178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 女子美術大学 (2021-2023) 早稲田大学 (2020) |
研究代表者 |
楢山 満照 女子美術大学, 芸術学部, 准教授(移行) (30453997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 儒教 / 漢代 / 画像石 / 銅鏡 / 歴史故事 / 中国 / 初期仏像 / 南北朝 / 仏像 / 偶像 |
研究開始時の研究の概要 |
初期仏像の造像銘に対して「儒教の霊魂観」から解釈を試みた研究は、これまでおこなわれていない。仏教初伝期とされる1世紀まで遡る仏像が発見されない現状に対して、仏教美術史の先行研究は、造られてはいたが現存していないだけ、と説明してきた。しかし、本研究のように視点を変えて、当時の主流思想があくまでも国教である儒教だった事実に立ち返るならば、当時の信仰においては、具象的なかたちをもって神格を造形化し、それを祀る、という志向は生じにくかったのではないか。予想されるその成果は、従来の仏教美術史研究の見解を、大幅に補訂するものになるはずである。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、コロナ禍の影響で渡航ビザの発給が困難となり、中国国内で作品調査を実施することができなかった。しかし、文献と実作品を用いて漢から両晋時代頃までの儒教図像を整理する作業を進め、本研究課題の最終的な成果の一部をまとめることができた。 「後漢鏡にみる儒教図像の解釈―中国美術史上におけるその意義」(『儒教美術研究』第1号、2024年3月)において、中国古代図像学の立場から、中国美術史上における銅鏡の図像の重要性、特に儒教図像を考察していくことの意義について再考した。そのなかで、従来の中国古代図像学が、副葬品や墓室壁画の図像を同定し、その主題解釈を通して「来世」の様相を明らかにすることに研究のウェイトが偏ってきたことを指摘し、文献学、考古学、美術史学等の既成の枠を横断することの必要性を述べた。そして、実作例と資料の双方を含めた新出の出土資料を参照し、相互に研究成果を積極的に参照するならば、現在では「現世」の様相を具体的に明らかにすることも可能になってきている状況を明らかにした。 以上は本研究課題の最終的な成果の一部をなすものである。延長申請により最終年度となる令和6年度(2024年度)には中国国内での作品調査を実施し、未公表の画像石の紹介とその図像解釈をおこない、中国の仏像制作黎明期における霊魂観に関する試論を実証する予定である。これまでの予備調査や研究代表者として取り組んできた別の科研課題を通して、未公表の作品の存在を複数確認しており、所蔵機関と協議のうえ、あらためて実見調査を実施し、その成果を研究論文として発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、2023年度も中国国内での作品調査を実施することができなかった。公開されている写真資料や拓本、ならびにコロナ禍以前に中国国内で実施した予備調査の成果をもとに、おもに論文執筆に重点を置いて研究を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年は比較的自由に中国への渡航が可能な状況となるなずである。よって、最終年度である2024年度は作品の本格的な実見調査を実施し、未公表の画像石の紹介とその図像解釈をおこなう予定である。すでに予備調査で作品の存在を確認しており、所蔵機関と協議の上、学術雑誌に論文として研究成果を発表する。
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