研究課題/領域番号 |
20K00181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小林 剛 関西大学, 文学部, 教授 (70388411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アメリカ美術史 / アメリカ文化研究 / アメリカ研究 / 表象文化論 / 視覚文化論 / 比較文化論 / 日米比較文化 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの私のアメリカ美術史研究は、基本的にはリアリズムの系譜を中心に行ってきたものである。当然のことながら、この時代における芸術の中心地はまだパリであり、ヨーロッパでの思想動向に対抗する形でアメリカの芸術概念は形づくられ、その対抗という文脈がアメリカのリアリズムに独特の意味合いを与えていたことを論じてきた。しかし、こうした対抗という伝統的な図式でアメリカ美術を読み解いていると、様々なところでそこには入り切らない「逸脱」が見られるのである。これまではそうした逸脱は個々の作家の独立した動きとして語られてきたが、本研究ではそれを「もう一つのモダニズム」という一連の系譜として明確に示そうとしている。
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研究実績の概要 |
本研究は、2014年に出版した拙著『アメリカン・リアリズムの系譜』の第3章で論じた「もう一つのモダニズム」に関する資料をさらに収集、調査、分析することによってアメリカ美術史を書き換え、とくに日本美術とアメリカ美術の関係について新たな道筋を明確に描くことを目的としている。とくに、その系譜を辿るうえで不可欠な人物はアーネスト・F・フェノロサとその弟子であったアーサー・ウェズリー・ダウであるが、昨年度はその二人に関連する資料について調査を行った。アメリカ美術史上これまでにもっとも多くの読者を持った包括的美術教育書と言われている『コンポジション』を書き、ニューヨークのプラット・インスティテュート(1895年から1903年まで)やアート・スチューデント・リーグ(1899年から1903年まで)やコロンビア大学のティーチャーズ・カレッジ(1904年から彼が亡くなる1922年まで)で長く教鞭を執っていたダウの美術理論は非常に革新的なものであったが、8月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校で行った調査により、彼の方法論がどのように一般的な美術教育の世界に導入され、東海岸から西海岸へと広がっていったのか、ある程度明らかとなった。また、アーサー・ウェズリー・ダウの名を冠したUCLA Arthur Wesley Dow Associationのコレクションを調査したことにより、その協会の概要も明らかとなった。加えて、9月にはハーバード大学ホートン図書館でアーネスト・F・フェノロサの手稿、書簡、及び関連資料の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、2020年度から毎年定期的にアメリカへ赴き、ダウやその弟子たちの軌跡を辿る予定であったが、コロナ禍による渡航制限のため2022年度の途中までリサーチに出かけることが叶わなくなり、当研究も著しく遅れることとなってしまった。2022年度の終わりにようやくニューヨークのプラット・インスティテュート・アーカイブにてダウに関する一次資料の調査を行い、2023年度にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校とハーバード大学ホートン図書館でダウとフェノロサに関する資料の調査を行ったが、引き続き2024年度も海外調査を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はワシントンDCにあるアーカイブズ・オブ・アメリカン・アートやニューヨークのコロンビア大学やニューヨーク近代美術館で引き続きダウとフェノロサの資料を調査しながら研究を進めていく所存である。また、二人に関する調査が完了したあとは、ジョージア・オキーフのようなダウの弟子たちや彼の理論から大きな影響を受けたと考えられる建築家のフランク・ロイド・ライトなどについても研究を広げる予定である。
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