研究課題/領域番号 |
20K00184
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 公益財団法人大和文華館 |
研究代表者 |
宮崎 もも 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部課長 (10416266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 美術史 / 江戸絵画 / 住吉派 / やまと絵 / 江戸時代後期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、江戸幕府の御用絵師として活躍した住吉広行・広尚・弘貫・広賢の画業の特色を明らかにするものである。 従来の住吉派研究では、江戸時代前期に活躍した初代如慶と二代具慶の研究が主であったが、江戸時代後期に活躍した五代広行以降に焦点を当て、如慶以来の伝統の守旧、あるいは変容について考察するとともに、同時代に活躍した他派の絵師たちとの影響関係を分析する。 さらに、御用絵師であることから、為政者の文化事業との関係についても重視して研究を行い、江戸時代後期の絵画史研究においてこれまで埋没していた住吉派の重要性について具体的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究三年目にあたる本年度は、東京藝術大学大学美術館、吉澤記念美術館、宮内庁三の丸尚蔵館、青山歴史文学博物館、慶應大学図書館、富山県立図書館などで調査を行い、多くの住吉派関係作品を実見することができた。また、住吉広行や弘貫関係の書類や日記の解読など、文献調査も合わせて行った。 こうした調査の中で、特に五代目の広行に注目し、広行をメインとして取りあげる初めての展覧会「住吉広行-江戸後期やまと絵の開拓者-」を勤務館の大和文華館で開催した。展覧会の図録論文やシンポジウム発表では、広行が若い頃より古画研究を熱心に行い、考証を熱心に重ねて寛政度の賢聖障子制作を行って高く評価されたことなど、広行の画業とその特徴を明らかにした。江戸時代後期の画壇では、国学や歴史考証の隆盛、外圧の高まりなどと関連して、日本の古(いにしえ)の時代・文化に関心が向けられ、やまと絵の古典を学び、復興しようとする動きが活発となっていた 。その代表的な絵師たちとして、復古やまと絵派と後世に名付けられる田中訥言、浮田一蕙、岡田(冷泉)為恭、狩野派の晴川院養信、江戸琳派の祖と言われる酒井抱一などが注目されてきた。江戸時代後期の住吉家の絵師については、「先祖の画風を墨守している」という低評価がなされることが多いが、広行の作品を具体的に見ると、上記の絵師たちよりも早くより古画模写や古画活用、考証を意欲的に行っており、広行の創案した図様が狩野派や江戸琳派、復古やまと派にも影響を与えていることが分かった。こうした点から、広行は江戸時代後期に隆盛するやまと絵復興の動きを先導した重要な絵師であると位置づけた。 こうした展覧会の成果を発展させて、美術史学会西支部例会発表や徳島市立徳島城博物館の講演なども行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は多くの美術館・博物館・図書館・個人所蔵の江戸時代後期の住吉派作品及び、同時代のやまと絵作品を熟覧することができ、その画業や画風についての知見を得ることができ、その成果を展覧会やシンポジウム、学会口頭発表、講演会、論文などで多く発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023度は、本研究の最終年度にあたるが、研究の前半に計画していた海外調査がコロナ禍でまだ出来ていないために、ヨーロッパの美術館所蔵の重要作品を調査する予定である。その上で、これまでの国内調査と合わせて研究の成果をまとめ、公開したい。
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