研究課題/領域番号 |
20K00185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
影山 悦子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20453144)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中央アジア / クシャーン朝 / バクトリア / 仏教美術 |
研究開始時の研究の概要 |
ファヤズテパ遺跡出土壁画の制作年代については、クシャーン朝期(1~3世紀)とする従来の説に対して、クシャーン朝崩壊後の4世紀末以降とする新しい説が提出されている。申請者は、2015年度から、ウズベキスタンの考古学研究所においてファヤズテパ遺跡出土壁画の保存修復作業に協力し、未発表の壁画断片の調査、記録、公開を行っている。その過程で、当該壁画はクシャーン朝期のものである可能性が高いと考えるに至った。本研究では、バクトリアの政治状況の変化に関する最新の研究成果をふまえ、さらに、新たに公表された資料をもとに、当該壁画とクシャーン朝美術との関係性について再検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、ウズベキスタン南部に位置するファヤズテパ仏教遺跡から1970年前後に出土した壁画を研究対象とし、その制作年代および歴史的背景を明らかにすることを目的としている。 3年目である2022年度は、ウズベキスタンとタジキスタンに出張し、ファヤズテパ遺跡出土壁画および関連する出土資料の実物調査を計画していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、2年半の間、主要な研究対象であるファヤズテパの壁画を調査することができなかったため、タジキスタン出張は延期し、11月と翌年2月にウズベキスタンに出張し、サマルカンド考古学研究所にて、ファヤズテパ遺跡出土壁画とザールテパ遺跡出土壁画の実物調査を行った。11月25日には、サマルカンド考古学研究所と共同で、ウズベキスタンから出土した壁画の保存修復と研究について話し合う国際ワークショップを、サマルカンドの観光・文化遺産シルクロード国際大学において開催した。 1月にはパリに出張し、ルーブル美術館で開催されていたウズベキスタン展とギメ美術館で開催されていたアフガニスタン展を見学し、ファヤズテパ遺跡の出土資料や周辺地域の考古資料の調査・記録を行うことができた。滞在中には、フランスの研究者と中央アジアにおける考古学調査について情報交換を行った。 年間を通して、中央アジアの仏教美術に関する著作、論文の収集につとめた。2020年度と2021年度に刊行した報告書『ウズベキスタン南部ファヤズテパ遺跡出土初期仏教壁画の保存修復』1, 2巻の内容をふまえた論文も発表されており、中央アジアの初期仏教美術に関する研究が活発になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度にロシアのエルミタージュ美術館において、2022年にタジキスタンの国立古代博物館において、関連する壁画の実物調査を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、海外出張を延期したため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、夏に、サマルカンド考古学研究所の保存修復専門家を招へいし、中央アジアの壁画に関する国際シンポジウムを開催し、これまでの共同研究の成果を報告する。秋にはサマルカンド考古学研究所を訪れ、ファヤズテパ遺跡とザールテパ遺跡の壁画の実物調査を行う。国際シンポジウムの報告内容と、新たに修復が完了したファヤズテパ遺跡の壁画の写真と研究成果を一冊の報告書にまとめて公刊する予定である。
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