研究課題/領域番号 |
20K00199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
蜷川 順子 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (00268468)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 聖母の聖心 / ハート形 / ネーデルラント / 見えるものと見えないもの / 風の表象 / ロヒール・ファン・デル・ウェイデン / 七秘跡 / 聖霊 / 聖心 / 聖霊と風 / 空に浮かぶ十字架 / コンコミタンス / 七秘跡と聖霊 / 風のイメージ / とりなしの祈り / 七つの悲しみ / キリストの聖心 / 聖心イメージ / 15世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
ハート形で世俗の愛を表わす慣例は13世紀のヨーロッパで始まったが、宗教的崇敬の場で神の愛などを表わすハート形は聖心と呼ばれ、15世紀初頭のコンスタンツ宗教会議前後に登場したものと思われる。ネーデルランドは聖心崇敬が盛んだった地域だと考えられるものの、その詳細は明らかになっていない。ここでは、おそらくロヒール・ファン・デル・ウェイデン(1399/1400-1464)周辺の画家による《受難の道具をもつ三天使のいる磔刑のキリスト》(ブリュッセル王立美術館)を考察の中心に据えて、これを「聖母の聖心」崇敬に関わる早い作例とみなす仮説をたて、15世紀ネーデルラントにおける聖心崇敬の実態を明らかにする。
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研究成果の概要 |
西欧における聖心イメージの登場は、現存資料に基づくなら、シスマを終結させたコンスタンツ宗教会議の頃だったと考えられる。コンコミタンス(併存説)が正統となり、血でもあり肉でもある聖心の象徴性が重視された。また、教会の存立を強固にする七秘跡の制度化において、旧約の七秘跡の制度化がルネサンスの古代研究に刺激を受けたことや、秘跡をもたらす聖霊(羅:スピリトゥス)の原語に、大気や風を意味する古ギリシア語のプネウマ(ヘブライ語のルーアハ)があることがあきらかになった。これらの観念はただちにネーデルラントにもたらされ、聖心崇敬がすすむと同時に、ロヒール周辺で聖母の聖心についても新たなイメージ化がなされた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
15世紀の初期ネーデルラント絵画は、キリスト教の目に見えない宗教的観念を写実的な現実世界に仮託することで、難解な教義を一般の人々にとって把握しやすいものとしてきた。そうした中でハート形は広く親しみやすいものとして人気を博し、強い影響力をもった。しかしながら、視覚イメージの常として曖昧な多義性を有するため、背後にある宗教的、政治的、社会的、経済的ファクターによるイメージ・リテラシーの変動を理解しなければ、その歴史的重要性を見過ごしかねない。本研究は、古今東西のイメージ受容の諸相において、看過するべきではない多義性や重層性を例示する点で、学術的・社会的意義を有する。
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