研究課題/領域番号 |
20K00203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
高橋 真作 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (10837727)
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研究分担者 |
森 道彦 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部美術室, 研究員 (90868853)
荒木 臣紀 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 上席研究員 (20537344)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 吉山明兆 / 室町仏画 / 仏教儀礼 / 禅宗寺院 / 東福寺 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東福寺を中心に活躍した吉山明兆(1352~1431)の各作品を「儀礼」という観点から捉え直すものである。禅院における公的な儀礼に供されたと目される連幅・大幅を中心とする明兆作品及び関連作品総体を対象に、光学的分析を含めた多角的調査を実施するとともに、中世禅林の清規・儀礼史料を網羅的に集成し、宋代仏教美術に関する最新の研究成果をふまえた仏教儀礼的視座からの検証を行い、その具体的な使用実態と絵画機能とを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、南北朝期から室町期にかけて京都・東福寺を中心に活躍した絵仏師・吉山明兆(1352~1431)の各作品について、多角的な調査を実施するとともに、宋代仏教美術に関する最新の研究成果をふまえた仏教儀礼的視座からの検証を行い、その具体的な使用実態と絵画機能とを解明することを目的としている。本年度は以下の成果を上げることができた。 1)明兆作品の調査・撮影:東福寺および塔頭の悉皆的調査・撮影を前年度まで実施してきたが、明兆の代表作「五百羅漢図」については、修理報告書の画像のみが使用されてきた経緯がある。そこで2023年4月13日と18日に東福寺所蔵分の全画幅の新撮を行い、より高精細な画像データを取得できた。また、代表者および分担者(森・荒木)により、8月8日から9日にかけて、デジタルマイクロスコープによる「五百羅漢図」の調査・撮影を実施し、詳細な絵絹の組成や裏彩色の情報が得られた。 2)明兆作品に関する成果発表:特別展「東福寺」において、本研究の成果を広く一般に還元できた。東京国立博物館では2023年3月7日から5月7日まで、京都国立博物館では10月7日から12月3日まで開催し、調査で得られた新たな作品情報を紹介できた。また、10月7日に勉誠出版より刊行された『重要文化財 東福寺五百羅漢図 修理と研究』では、代表者と分担者(森)による論考を収載し、これまでの調査で得られた新知見をまとめて提示することができた。本書において、前年度にロシアのエルミタージュ美術館に保管されていることを突き止めた「五百羅漢図」第50号を大型カラー図版で紹介できたことは、今後の明兆研究にも大きな進展をもたらすものといえる。さらに、2024年3月15日には、AAS 2024 Annual Conference Seattleにおいて、代表者が口頭発表を行い、明兆作品の意義を海外でも発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年計画の4年目である本年度は、これまで蓄積してきた明兆作品についての調査研究の成果を、展覧会、一般書籍、口頭発表、講演等により、国内外にわたって広く公表することができた。おおむね当初計画のとおりに進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
東福寺本山および同寺塔頭所蔵作品の調査については一定程度の目途がついたが、未実施の寺院や博物館等の明兆作品についても継続的に調査を実施していきたい。また、最終年度となる2024年度は、これまで行ってきた調査撮影のデータを取りまとめ、総体的な明兆論の構築と、その情報発信に努めていきたい。
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