研究課題/領域番号 |
20K00204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 公益財団法人大和文華館 |
研究代表者 |
瀧 朝子 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部課長 (90416264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 金属工芸 / 技法 / 呉越国 / 遼 / 高麗 / 仏教工芸 / 荘厳 / 五代十国時代 / 彫金 / 銭俶 / 制作技法 |
研究開始時の研究の概要 |
仏教工芸の多くは金・銀・銅などの金属が用いられるが、これは耐久性や大量製作を目的とする制作上の理由だけではなく、金属の持つ色や光沢が仏や教えを荘厳する意味を持ち、仏像を表すのに適した素材と見なされたことが挙げられる。本研究は、仏教工芸において画期の一つとなった中国・五代十国時代(10世紀)に注目し、金属の性質が持つ視覚的効果を生かすために、どのような技術が用いられたのか、制作技法とその視覚的効果に着目してこれらの関係と意義を明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究が対象とする中国・五代十国時代(10世紀)を中心とした仏教工芸の関連資料を収集し、また国内・海外での渡航や移動の規制が緩んだため、積極的に国内・海外にて作品の実見調査を行うとともに、調査内容の整理を進めた。 国内では和泉市久保惣記念美術館ほかにおいて、海外では、予定していた調査のうち、今年度渡航可能であったアメリカに絞り、メトロポリタン美術館やボストン美術館、ハーバード大学美術館、フリーア美術館などにて、金属工芸作品および関連する仏教美術の実見調査を行った。作品の熟覧調査では、写真だけでは確認できない作品の構造を調査するとともに、金属の表面に刻まれた文様を詳細に観察することで、中国や朝鮮半島において多様な種類の鏨(彫金のための工具)が用いられていたことを確認した。今回の調査により、細部にわたる調査データを集めるとともに、材質や制作技法について詳細な観察から得られる発見は多く、さらに、現地の研究者との交流を深めるなど、大きな成果を得ることができた。金属工芸の技術は陶磁器など他分野の技術とも深く関係しているため、特に実地調査では研究対象とする時代を中心にその前後の時代や周辺地域の陶磁器なども含めて観察・考察を行うように心がけた。現在は予定していた調査を進めながら、金属工芸作品に用いられている鏨などの工具およびその使用方法、表現効果を精査するなど、調査した内容の整理を鋭意進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的な影響から、本年度までの研究では資料の収集や国内での作品調査、これまでの調査内容をもとに、鋭意、検討・考察を進めてきた。本年度末にアメリカ調査を行ったものの、海外渡航の問題などから中国における調査および資料収集が実行できていないため、当初の予定より進捗状況はやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきた調査の整理を行いながら、基本的には前年度と同様に状況を見つつ、作品の調査と資料収集により考察を深める予定である。次年度は、計画していたが新型コロナウイルスの影響で実行できていなかった調査を行い、これまでの遅れを補い、結果をまとめられるように研究を推進する。
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