研究課題/領域番号 |
20K00221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
中川 俊宏 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 特任教授 (60459972)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 指定管理者制度 / 文化施設 / 博物館 / 劇場・音楽堂 / 専門人材 / 学芸員 / 企画制作 / 美術館・博物館 |
研究開始時の研究の概要 |
公立の美術館・博物館と劇場・音楽堂等は、ともに「公の施設」として指定管理者制度導入の対象施設であるが、それぞれにおける制度への対応状況を比較・考察するとともに、設置自治体(行政機関)サイドの認識を重ね合わせることによって、美術館・博物館における学芸員と劇場・音楽堂等における企画制作スタッフという専門人材の就業形態を中心に、それぞれの施設の創造的な業務における専門性の確保という観点から、双方の知恵や工夫等の相互における活用方法を探り、制度の趣旨を生かしつつ、持続可能で無理なく運用しうる専門性確保のシステムを考案することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、博物館や公立文化施設の専門人材の確保という観点から、その業務遂行上の問題の解決を目指すものであり、同時に施設利用者である市民にとっての不利益の解消にもつなげるものである。今日、専門人材を必要とする文化施設が指定管理者制度において直面している大きな問題を、「公益性と営利の二律背反(不安定・低賃金の雇用)」「業務の継続性・連続性の不確実(長期的企画の立案や人材育成の困難)」の2つと考え、その解決のための方策を考察し、文化施設が専門人材を活用して高い専門性を発揮しうる道を探り出すことを目指している。 調査研究の実施内容は概ね以下のとおりである。①博物館における学芸員、劇場・音楽堂等における企画・制作スタッフの雇用の実態を、施設運営者と設置自治体の双方を対象に調査する。②専門人材活用における指定管理者制度運用上の問題点と、問題解決の試みを整理・分析する。③博物館と劇場・音楽堂等を比較対照しつつ、それぞれに有用な問題解決方法を考察する。 2023年度は劇場・音楽堂等における企画制作スタッフの所属と雇用状況、現在の運営上の問題などについての情報収集とその整理を進めた。また、指定管理者制度を導入している劇場・音楽堂等の設置自治体へのアンケート調査のための準備を進めた。一方、博物館における学芸員の就業状況に関する調査報告をまとめて公表するとともに、学芸員を直接雇用している博物館へのヒアリング調査を開始した。 本研究は4年の予定で計画されており、2023年度は最終年次の4年次に当たっていたが、諸事情による遅れが生じたため、研究期間延長の承認を得て5年計画と修正した。引続き、全国の博物館や公立文化施設がどのように指定管理者制度と専門性の折り合いをつけているかを調査し、この制度の本来の趣旨を踏まえつつ、持続的に運用しうるシステムを検討し、提案することを目的として研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2020年春に採択されたが、折から始まった新型コロナウィルス感染症拡大により、その進行は多大な影響を受けることとなった。大学の授業のオンライン化によって、学生アルバイトの活用が難しくなり、また研究代表者自身もオンライン授業対応などで例年以上に業務が繁忙になったために生じた初年次の遅れがそのまま持ち越されるところとなった。さらに、2022年度からは研究協力者上田順の退職によって、あらゆる作業を研究代表者が一人でこなさなければならなくなった事情も重なり、遅れを取り戻すことができないまま最終年度を迎えることとなった。 2023年度は、当初の予定では、指定管理者制度を導入している公立文化施設の設置自治体に対するアンケート調査を実施し、最終的な作業として全調査データの分析・考察などを進める予定であったが、結果的には、3年次に積み残した公立文化施設へのアンケート調査結果のデータ入力作業に多くの時間を費やすこととなった。また博物館への調査結果をもとにした報告書の執筆・投稿などにも時間をとられたため、研究期間の延長を申請し、遅れた作業を5年目に持ち越して進めるべく、計画の修正を行ったところである。
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今後の研究の推進方策 |
5年目に入ることとなる2024年度は、指定管理者制度を導入している公立文化施設の設置自治体(担当課)へのアンケート調査を行う。その主な質問項目は、指定管理者制度選択の理由、企画制作スタッフの所属とそれについての考え、現在の制度運用上の問題などである。その回収結果のデータ入力を経て、分析を進める。 また、同時にアンケート調査回答者の一部へのインタビューも進めていく予定である。既に2023年度末から、学芸員を直接雇用している博物館に対するヒアリング調査を始めているが、これを継続して進めていく予定である。 最終的には、全調査データを分析・考察し、提案をまとめるところまで進めていきたい。
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