研究課題/領域番号 |
20K00234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
安川 智子 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70535517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 箕作秋吉 / 和声理論 / ロマン・ロラン / ヴァンサン・ダンディ / フーゴー・リーマン / 五度和声理論 / ポール・クローデル / 小泉文夫 / 日本の音階 / 異文化共存 / ペンタトニック / 和声 / 洋楽研究 / 五音音階 / 日本和声 / ヴァグネリスム / ドビュッシスム / 20世紀日仏交流 / ブルゴー=デュクドレー / 音楽学 / 20世紀フランス / サン=サーンス / 古楽復興 / 20世紀日本 / 西洋音楽受容 / 池内友次郎 / フランス音楽 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半~20世紀初頭にかけてフランスにおいて構築された音楽の理論・批評・教育のネットワーク的システムが、20世紀初頭の日本にいかなる影響を与えていたかを具体的に跡付ける。1930~50年代の日本では、和声理論や音楽教育の分野でドイツとフランスのモデルを中心とした「折衷型」が定着した。フランスの事例は日本の音楽文化組織形成にきわめて重要な貢献をしたにもかかわらず、適切に評価されていない。そこで、折衷的な「日本和声」理論を主張し、国際的に発信していた箕作秋吉の再評価を出発点に、フランス音楽文化モデルを正当に評価することによって、日本の音楽文化の独自性がどこに在るのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
4年間の研究期間においては、多岐にわたる充実した研究活動を行うことができたが、それらは2024 年3月に『音楽学』に掲載された共著論文「箕作秋吉の五度和声理論にみる異文化共存ー音楽の国際連盟を目指して」へと結実した。箕作秋吉の五度和声理論は、近年海外で注目が高かったが、その本当の意義は明らかになっていなかった。本論文では、理論そのものの斬新さや意義を証明するのではなく、作曲家の文化政治的な活動に注目し、戦前から戦後にかけての「理論の変遷」に焦点を当てることで、箕作の和声理論が、敵対する立場や国の人々の調和を目指す「異文化共存」を目的とする理論構築であったことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本国内だけでなく海外に向けても発表された箕作秋吉の音楽理論と音楽作品は、第二次世界大戦に向かう時期の日本を象徴する事例であったこともあり、国内外の研究者の立場によって様々な読み解きがなされていた。しかし「音楽」または「音楽理論」という対象の抽象性から、そうした読み解きの多くは、研究者自身の国や立場を反映した主観的な価値判断を伴う結論であった。本研究成果の学術的意義は、英語圏に軸足をもつ香港在住の研究者と、主にフランス語圏を研究対象とする日本人研究者の共同研究により、国際的かつ多角的な視野で発表を行い、結論を導けたことであり、研究方法の再考や思考の転換を促すという意味でも社会的意義をもつ。
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