研究課題/領域番号 |
20K00259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 晋平 日本大学, 芸術学部, 研究員 (90612870)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 自主上映 / プラネット映画資料図書館 / 千年シアター / ミニシアター / 公共上映 / 美術館 / 非商業上映 / 文化政策 / 1980年代 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1980年代に日本各地で活動していた自主上映グループなどの非商業的な上映活動が商業映画館に転換される過程、および美術館やアートセンター、フィルムライブラリーなどにおける映画上映の実態を検証する。調査方法は、上映活動の当時者へのインタビューと上映グループや文化施設が発行していた機関誌、プログラム、チラシなどの分析を主とする。その作業を通し、90年代に日本で「公共上映」という概念が唱えられる前に存在した、かつての政治運動や対抗文化と結びついた上映活動の変容と文化政策における映画上映の歴史的展開を考察していく。研究成果は、申請者の所属学会で研究発表・論文投稿などを行い、公表につとめる。
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研究実績の概要 |
日本映像学会第48回大会(於京都大学、2022年6月1日)で研究発表「《プラネット映画資料図書館》の上映活動のアーカイブ化-1974-1987年まで-」を行った。1974年に大阪で設立された《プラネット映画資料図書館》は、フィルム・アーカイブ活動に対する側面から国際的にも注目される機会を得てきたが、彼らが実施してきた自主上映活動の調査・研究は、ほとんど進められていない。発表では、1974年から1987年までの時代に焦点を合わせ、《プラネット》の活動が現れた背景にある、関西における映画上映の文化の変遷にも議論を及ぼした。また以上の議論を発展させた論文「《プラネット映画資料図書館》の上映活動―1975-1988年まで」『映像学』(第109号、日本映像学会発行、2023年2月)を発表した。同論文では、自主上映グループによる活動が人とモノ、空間のネットワークにおいて成立すること(時代や社会、メディア環境などの枠組みに還元できないこと)を把握するため、ブリュノ・ラトゥールらが提唱したアクターネットワーク理論を参照した。 さらに日本映像学会関西支部第95回研究会(於大阪芸術大学、2022年12月10日)において研究発表:「〈千年シアター〉と1980年代関西の自主上映文化」を行った。本発表では、小川プロダクションによる『1000年刻みの日時計ー牧野村物語』を上映するため、1987年夏の京都に一ヶ月間だけ存在した仮設の映画館「千年シアター」について、関係者へのインタビュー取材、および提供された資料に基づき、検討した。 加えて、昨年度より「資料から辿る自主上映史」というレポートを、神戸映画資料館のウェブサイトにシリーズで掲載している。これまでに小池照男の自主上映活動についてのトーク再録、京都の《シネマ・ルネッサンス》、《スペース・ベンゲット》、《RCS》という上映グループの記事が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度までは新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、出張などを伴う調査研究に遅れが生じていたが、2022年度は予定していた自主上映の関係者へのインタビュー取材を着実に実施し、その成果を学会発表・学術論文のかたちにまとめ、さらに神戸映画資料館ウェブサイトでも取材レポートを公表することができた。コロナ禍による研究の遅れを取り戻しつつあり、最終年度も、さらなる研究成果のアウトプットに向けた準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に掲げていたが、実施が遅れていた各地の自主上映グループの活動、および美術館、公共ホールなどにおける上映活動の実態について、資料の収集と取材を進めていく。具体的には、2022年度に日本映像学会の研究会で発表を行った、「千年シアター」という仮設の映画館の設立経緯とその意義について、論文としてまとめ公表する予定である。また、「プラネット映画資料図書館」による自主上映活動の歴史の全体像に光をあてる新たな論考も準備しており、その成果は、次年度以降に公表できるものと思われる。
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