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古代粒金技法の接合材を複製制作実験より解明する-起源の復古と展開-

研究課題

研究課題/領域番号 20K00261
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01070:芸術実践論関連
研究機関文化学園大学

研究代表者

成井 美穂  文化学園大学, 造形学部, 准教授 (70459957)

研究分担者 相原 健作  東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (50376894)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード金属工芸 / 粒金 / 接合 / 文化財 / 彫金 / 金属 / 鉱石 / クリソコラ / 金 / 孔雀石 / 彫金技法
研究開始時の研究の概要

古代粒金作品は現存するが、技法は途絶え現代に継承されていない。その中で「古代粒金作品は銅化合物で接合されている」という定説に基づき、科学者たちは分析時に「銅の検出」の有無をポイントとしている。これは古代粒金技法発祥当時の文献に「クリソコラ」や「孔雀石」を接合に用いたことに由来する。
しかし、本研究ではクリソコラや孔雀石に含まれるAl,Siなどの微少元素に着目し、実際に鉱物での粒金接合が可能かを熟練した金工作家が接合実験を行う。その接合部を接合の研究者がSEM-EDSで評価し、鉱物のCu,Al,Siなどが、どの様に母材の金に拡散するかを検討する。その粒金の再現実験を通じて制作施工方法を確立する。

研究実績の概要

本研究では、現存し芸術作品として高い評価を得ている古代粒金作品の現代に継承されなかった制作工程や接合技法を解明する。その指針として文献調査、学芸員や科学者の間で定説とされる銅化合物による金の接合事例をもとに研究を進める。紀元前の文献には、Cuを含む「クリソコラ」や「孔雀石」などの天然石が、金の接合ろう材として使用されと記載されている。その中のプリニウスの博物誌の記述に基づき粒金接合のメカニズムを解明していく。
そのため国内外の鉱物の「クリソコラ」や「孔雀石」を接合ろう材としての粒金接合実験を行い、その評価を行う。
ろう材としてCuを含む銅化合物の効能についての検討は勿論だが、鉱物中のAl,Siなどの微少に含まれる元素の働きにも着目し、金工作家、金属文化財研究者、ジュエリー作家と、ろう接の研究者で、実践的な研究を進める。①ろう材組成と添加物の効能②ろう材の融点と低温化③ろう付け雰囲気と接合強度の関係性④安定した接合と美観、の検討を連携して行い、粒金接合の最適な条件を確立し未来に継承する。
「クリソコラ」や「孔雀石」は天然石であるため、Al.Siなどの微量元素が混じっており採掘された場所によっても、その組成に差異があることがわかっている。国内外でそれらの天然石を購入できる企業を調査し、産地が異なる「クリソコラ」や「孔雀石」を多く入手して、ハンマーで砕き、メノウすり鉢で微細粉末状にして組成分析を実施している。その結果、検出した微量元素が金と金との接合にどのような効果をもたらすか検討している。
またそれら天然石の微細粉末を使用して、ガスバーナーと電気炉による接合実験と接合部の評価を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和5年には、新型コロナウイルス感染症の影響などで古代粒金技法発祥の地であるトルコ付近へ渡航しての天然石の入手が出来なかったが、日本画顔料制作企業、宝石輸入業者より「クリソコラ」「珪孔雀石」を輸入してもらうことが出来た。産地が異なる「クリソコラ」や「孔雀石」を入手して、ハンマーで砕き、メノウすり鉢で微細粉末状にしてSEM-EDSで組成分析を実施した。その結果、産地などにより検出した微量元素の差異があった。
これまでの研究では銅化合物などを用いて金板と金粒の接合実験を実施し成果を報告してきた。その接合方法を用いて、天然石の微細粉末を使用して接合実験をガスバーナーと電気炉で行った。接合部の目視観察では良好なフィレットを確認することができた。またボールシェアテストによって接合強度を調査したところこの結果も20ニュートンと強固な接合であることがわかった。粒金接合においてCuのみならず、天然石に含まれる組成の何が、どのような効果をもたらすか検討を行っているが微量元素の働きについては解明できていない。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、産出国の異なる天然石をより多く入手して粉砕し、それらの粉末の組成分析を行い、接合の再現実験を実施し評価を行う。多くの実験を比較し、どのような成分が粒金の接合に影響をもたらしているのかを検討する。今まで入手した珪孔雀石などの天然石の実験より、目視観察では良好な接合だと確認が出来ている。それについて研究分担者と連携し、工学的な接合評価を行う。
具体的には、接合に使用する天然石を粉砕し、走査型X線分析装置で組成分析を実施する。接合条件を接合雰囲気や加熱温度、加熱時間を変えて再現実験を電気炉やガスバーナーを使用して行う。接合した試料をボールシェアテストにて接合強度を評価する。それらの結果を踏まえて粒金接合のメカニズムを解明する。
また、文献調査より接合時に加圧を付与すると接合強度が増すという報告があるので、逆ピンセットで接合試料を固定しての接合実験も試みる。その加圧の最適な接合条件も考察し、ろう材だけでなく加圧による効果が金と金の接合にどのように影響しているのか調査する。
そして、教育現場に還元が出来るように簡便な金と金の接合(グラニレーション)の手引書を作成すると共にジュエリー制作、文化財の修理、修復などにこの技術の活用の可能性を検討する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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