研究課題/領域番号 |
20K00269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
上藤 一郎 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (00281494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 統計学史 / 確率論史 / 統計学の数学化 / 統計教育 / 確率教育 / 国勢調査 / 統計制度 / 数学教育 / 公算学 |
研究開始時の研究の概要 |
統計学は,本来,国家科学の一領域に属する国状記述の学問であったが,19世紀末から20世紀初頭に統計的方法の科学として変貌を遂げ,現代では数理科学の一領域として看做されている.このような歴史的過程を研究代表者は「統計学の数学化」と呼んでいるが,本研究では,その「統計学の数学化」を日本の場合について検証し,日本の統計学史の再構築を試みる.具体的には次の三つの課題(研究計画)に取り組む. 研究計画Ⅰ:戦前期の帝国大学等の高等教育機関における統計教育の実態把握と社会的背景の分析 研究計画Ⅱ:統計数理研究所設立をめぐる歴史的経緯と社会的背景の分析 研究計画Ⅲ:学術論文のテーマと内容に関する統計的分析
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研究実績の概要 |
本研究にある統計学史研究の新しい試みとして,現在のまでのところ,統計教育の制度的側面を中心に研究を積み重ねてきている。具体的には(1)東京帝国大学における統計教育,(2)旧帝国陸軍・海軍での確率論教育,更に日本に限定せず国外の当時における統計学の数学化に関する動向について制度論的・実証的研究を続けている。まず(1)については,日本の大学で初めて統計教育をカリキュラムの中に取り入れて行ったのが東京帝国大学であることから,明治期~大正期にかけての統計教育の状況を学部別に検討を行った。特に着目すべきは,当時の統計教育は,統計学を数学ではなく国家科学の一領域として理解されていたことから,主に法学部と経済学部が統計教育の中核を担っていたことである。(2)については,日本で最初に確率論(公算学)のテキストを公刊させたのが陸軍士官学校であることから,主に陸軍を中心に確率論教育の目的と実態を検討した。現時点で明らかにし得たことは,陸軍における確率論教育は,普通学としての数学教育ではなく,射撃学との関連で軍事専門教育の一環として導入されたことである。また,陸軍士官学校が当初はフランス式の士官教育制度を導入していたことから,フランスの士官学校における数学教育(確率論教育)についても調査を進めてきた。また(3)については,特に近代統計学の定礎者とされるA.ケトレーの統計学とその数理統計学に対する影響について検討を進めてきた。なお2022年度においては特に(2)に関する研究を中心に進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の初年度から発生したコロナ禍の影響が昨年度についても残り,結果として文献調査や収集した文献の分析などの作業にやや遅れが生じていする。このため,当初の予定を1年延長して研究を継続することとし,過日申請・許可された。とは言え,東京大学,防衛研究所における文献調査は概ね終了している。また統計学関係雑誌のデータベース化も終了している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の最終年度ということもあり,更なる文献調査を進めていくと共に,研究計画にあったデータ解析にも力を注いでいくことになる。これに並行して,学会報告を通じての研究成果の公表と研究成果を纏めた論文の執筆・公刊を併せて進めていく。
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