研究課題/領域番号 |
20K00272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
橋本 明 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40208442)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 精神医療史 / 台湾 / 旧植民地 / 精神医療施設 / コロニアリズム / ポストコロニアリズム / 精神医療法制 / 精神衛生法 / 精神病院 / 養神院 / 龍發堂 / ポストコロニアル / 台湾省議事録 / 植民地医学 / 精神医学史 / 社会事業史 / 医学史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本統治下および第二次世界大戦後から現在に至るまでの、台湾における精神医療の近現代史を検討する。戦前の台湾総督府の行政文書や台北帝国大学精神科の患者診療録などの一次資料の分析を中核にする一方、戦後台湾については、関係資料の収集、精神障害者の医療・福祉施設の歴史と現状を把握する現地調査に加えて、当地の精神医療法制度改革の関係者への聞き取り調査を行い、不安定な政治状況と政治勢力間の対立が生み出した戦後精神医療の複雑な展開を整理する。このように、戦前の実証的なデータと戦後の関係者の証言および現地調査を組み合わせることで、戦前戦後をつなぐ台湾精神医療史の総合的な研究を目指す。
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研究成果の概要 |
日本統治下および戦後の台湾の精神医療史を明らかにすることが本研究の目的である。そのために、国内外の関係資料の収集、整理、分析を行い、台湾の研究者と精神医療の歴史と現状に関する意見交換を行った。日本統治下台湾については、1934年開院の台湾総督府精神病院・養神院の成立とその後の経緯に中心に、他の精神医療関連施設との比較研究を行った。一方、戦後台湾については、戒厳令下での医療施設不足と精神障害者の劣悪処遇の視点から、1990年の精神衛生法成立の経緯を分析した。さらに、花蓮県の臺北榮民總醫院玉里分院を訪れ、台湾を代表する地域精神医療システムの歴史と現状を調査した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の台湾の精神医療史研究においては、日本統治時代と第二次世界大戦後の歴史記述とが断絶していたが、本研究はその歴史を連続的にとらえる嚆矢となるものである。また、近代日本の精神医療の制度は旧外地まで及ぶものだったが、日本本土の制度をほぼ忠実に施行させた唯一の地域である台湾の制度運用を詳細に検討することで、近代日本の精神医療の普遍性と特殊性、近代日本の制度の本質を逆にあぶりだすことが可能となる。さらに、戦後台湾の精神医療制度の展開過程は、東アジア各国各地域の精神医療政策を比較検討するうえで、また、わが国の今後の精神保健福祉法制を考えるうえで重要な示唆を与えるものと考える。
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