研究課題/領域番号 |
20K00285
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
藤川 玲満 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20509674)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 日本文学 / 近世文学 / 読本 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、読本への史学(史書)や地誌からの影響の観点から、近世中後期の学術研究の発達と戯作の形成の関係を明らかにしようとするものである。具体的には、上方の読本作者を研究対象の中心とし、その著述態度と研究史の情勢の関係、書物の受容の様相、史書と地誌の関係等に着目した検討を行う。読本の形成について、創作の技巧の点のみでなく、文壇・学芸の潮流との連繋の観点を加えて総体的に理解することは不可欠と考えられる。時代環境に即した読本史の解釈と、より広い領域からの再評価を推進することを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、近世中後期の上方における読本制作の特質とその事情について、文壇・学問の潮流といった時代環境と戯作との関連を解明する目的のもとに、作者の経歴・著述活動も視野に入れながら、地誌・歴史の領域との影響関係に着目して調査研究を行ってきた。そして、作品本文の形成の実態調査に基づく結果として、政治・社会・文化史の主題や素材に対する戯作者の態度や関心と、それらを小説(創作)で表現した手法・技巧が明らかになってきた。そうしたなかで、本年度は、とくに文禄・慶長の役を描く『絵本朝鮮軍記』(寛政12年刊)の調査研究からの継続的展開として歴史事項の主題をめぐる読本の制作事情を複眼的に捉えること、また、戯作者の活動における歴史素材と地誌・読本の関係の考察を追補することを目的に、南北朝の動乱を対象として、このことに関わる地誌(名所図会)の叙述と、読本『絵本楠公記』(初編は山田得翁斎作、2編・3編は速水春暁斎作、寛政12年~文化6年刊)の形成の実態についての調査研究を行った。結果として、『河内名所図会』(秋里籬島作、享和元年刊)をはじめとする名所図会の南北朝の古戦場や諸将の叙述には、旧記への依拠における傾向や人物への着眼の志向、諸士をめぐる論評の特質が捉えられた。『絵本楠公記』については、先行研究に指摘される典拠に関して記事の加除の検討を行い、叙述・編成における取り合わせの志向や筋の打ち出し方の手法と意味が捉えられた。これらの成果には、読本作者による当代に至る研究史の受容と、創作における認識の投影を捉え得た意義があると考えている。
|