研究課題/領域番号 |
20K00286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
錦 仁 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (00125733)
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研究分担者 |
山本 章博 上智大学, 文学部, 教授 (70733955)
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研究期間 (年度) |
2020 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 歌枕 / 俳枕 / 名所の新規設定 / 藩主の領内巡覧 / 藩撰・私撰地誌 / 旅日記 / 巡見使 / 歌枕の名所づくり / 藩主の和歌活動 / 幕府派遣の巡見使 / 巡見使の旅日記 / 中世・近世の歌枕集 / 歌枕・名所 / 地誌 / 紀行・旅日記 / 諸藩の文学活動 |
研究開始時の研究の概要 |
東北各地の公的図書館・博物館・資料館と古文書を所蔵する個人を訪問して、歌枕・名所・俳枕に関する従来の研究では未調査であった資料・記事を多数発掘し、精細な検討を加え、新しい研究成果を提示する。 特に東北地方の各藩がそれぞれ独自に藩内に歌枕の名所を設定していたこと、そして地誌に明記させ、藩士や中央の歌人に和歌・俳諧・漢詩を詠ませて各種の作品集を編纂していたこと、つまり各藩独自の文学活動の実態を解明する。 併行して、旅人として訪れた歌人・連歌師・俳人・詩人たちの紀行文や幕府派遣の巡見使の書き残した旅日記などを発掘し、これまで知られてこなかった歌枕・名所の実態を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、従来の歌枕研究の成果を踏まえつつ、地方の視点から新たな歌枕の研究を試みたものである。具体的には、歌枕の場所を一つに特定する研究を批判し、例えば「末の松山」という歌枕が東北地方に五箇所見られるように、後付けで作り出された偽名所を含めて歌枕を捉え直した。 まずは、近世期の東北の各藩における歌枕の名所化の実態を明らかにするために、これを跡づける資料(歌集・連歌集・発句集・連句集・旅行記・歌書・俳書・地誌など)を収集し、翻刻解読を行った。その範囲は、南は白河藩から北は盛岡藩に及ぶ。主な資料は、『白河古事考』『白川古事考撮要並名勝之図』『白河風土記』(白河藩)、『相生集』(二本松藩)、『奥相志』(相馬藩)、『會津旧事雑考』『會津風土記』(会津藩)、仙台藩『仙台領地名所和歌』(仙台藩)、『荘内江戸道中記』(庄内藩)、『名所追考(補正版)』『名処順道記』(盛岡藩)などである。 また、同時に近世期の東北の旅日記を分析した。具体的には、主に菅江真澄の旅日記と古川古松軒の巡見使随行日記である。特に、古川古松軒の絵入り名所案内記『奥羽名勝志』(全五冊)については翻刻を行った。 これらを踏まえて、平安時代から近代にかけての歌枕・名所の歴史的変遷とその意義について、研究代表者、研究分担者がそれぞれ論文を発表した。主著は、錦仁『歌合を読む―試みの和歌論』所収「歌枕と名所」である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、歌枕研究において従来研究対象としなかった地方の資料を取り入れ、後付けで作り出された歌枕も含めて、その考察対象を大きく広げた。さらには、地方における歌枕・和歌の意義を問うことで、都の和歌を中心に展開される和歌研究を相対化する。 東北各藩による歌枕の名所化の実態を明らかにすることは、それぞれの土地における埋もれた名所を再発見することである。地方における歴史的文化遺産を発掘・継承する社会的な意義を持つ。
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