研究課題
基盤研究(C)
1970年代からの株式会社サンリオの出版物、特に女性詩集や関連する投稿雑誌、SF文庫などを例として取り上げ、現代において〈女性的〉とされる文化の形成過程と展開を探る。サンリオに代表される日本の〈かわいい〉文化と、上記の出版物に現れる不気味なものや不可知なものなど多様な表現には、どのような関係があるのかを検証し、文学とサブカルチャーにまたがる文化的構図を抽出する。研究会やシンポジウムの公開で成果を発信しながら、論集などの成果物の刊行を目指す。
最終年度となる2023年度は、成果としての書籍出版に取り組んだ。第10回研究会は、2023年4月30日(日)13時より、慶應義塾大学三田キャンパスにおいて行い、メンバー各自があらかじめ執筆した論文について検討を加えた。それをふまえ、各自が時間をかけて論文を修正した。また、2021年度より実施してきたサンリオ関係者へのインタビューの整理も行った。さらに、10月16日(月)14時~15時30分には、慶應義塾大学三田キャンパスにおいて、サンリオの出版物に関わった方のインタビューを新たに行った。以上を踏まえ、『サンリオ出版大全―教養・メルヘン・SF文庫』(慶應義塾大学出版会)を2024年2月18日に刊行し、成果を公開した。3年間の研究期間で、やなせたかし編集の『詩とメルヘン』について、先端的な詩壇とは異なる詩雑誌の意義を明らかにした。きのゆりや尾家明子、内城文恵などの具体的投稿者を通じて、雑誌側の企画やイラストに対し、読者がどのように共鳴し、またどのように齟齬を言語化するかを跡付けた。同誌における新たな〈メルヘン〉の定義についても分析した。さらに、辻信太郎が執筆した複数の物語や、『いちご新聞』の「いちごの王さま」(辻信太郎)の発言にみられる教養主義という原点を捉え、サンリオの事業拡大で出現するさまざまな媒体についても分析した。例えば漫画誌『リリカ』におけるリリシズムや、「キタキツネ物語」や「シリウスの伝説」に代表される映画事業の意義と変遷、サンリオSF文庫を主導した山野浩一のSF観、SF文庫と少女漫画家とフェミニズムとの関係などを分析した。それらを通して、1970年代の文学と文化の変容を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (13件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (7件)
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