研究課題/領域番号 |
20K00296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
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研究分担者 |
奥田 浩司 追手門学院大学, 文学部, 教授 (90185538)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 宮沢賢治 / 児童文学 / 戦時期 / 受容研究 / 宮澤賢治 / 児童文学の受容 / 戦時中 / 貝の火 / 高畑勲 / ポストヒューマン / 鹿踊りのはじまり / なめとこ山の熊 / 唱歌 / 児童文化 / 日本統治期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本統治期に、現在の東アジア、東南アジアにおける小学校の教育機関等で日本の児童文化(児童文学、唱歌、児童向け映画、アニメーション)等を受容した人たちについての聞き取り調査を通して、当時の日本文化の受容を解明する研究である。現在もなお、当時の記憶を残す人々が東アジア、東南アジアにいる一方で、高年齢ゆえに、その記憶を持つ人々の数は限られており、具体的な聞き取り調査の実施は喫緊の課題であるだろう。 一例としてあげれば、本格的な児童映画の誕生と称された宮沢賢治原作の『風の又三郎』は、「童心」が普遍性をもった魅力として人気を博していた状況が確認されている。
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研究実績の概要 |
単著の論文「旅マタギと資本主義の論理ーー『なめとこ山の熊』における〈ケア〉の精神」を執筆した(同論文は、単著『宮沢賢治を創る人々』(七月社、再校中)に所収される)。 この論文の調査のために、兼業マタギの人々にインタビューを行ったが、宮沢賢治の童話が戦時中に受け入れられていった大きな要因の一つに、宮沢賢治が当時の岩手の社会状況を詳細に踏まえていたことが確認された。今回の調査で『なめとこ山の熊』では、宮沢賢治は現実のマタギの状況を詳細に描いていたことが明らかとなった。『なめとこ山の熊』の舞台は、長らく架空の山だと考えられていたが、後年実在することがわかった。童話の主人公は〈熊捕名人〉と作中で呼ばれているが、東北の山村などの山奥で独自の集落での生活を営んだ実在のマタギの姿が反映されており、なかでも主人公のモデルとして「旅マタギ」を描いたことが確認された。「旅マタギ」は旅先で定着し暮らしを立てた。それは、出稼ぎ狩猟であり、旅先で休息をとったり食料を調達したりしたマタギ宿、そして捕獲した獲物を市場で換金交換することで成立する。そのため当時の「市場」との関係性が深く絡んでいた。インタビューや調査を通して、宮沢賢治の戦時期の受容には、現在よりも、童話に描かれた様々な要素が、当時の読者にとって身近であったことが確認されたが、これは大きな収穫であった。今後、この観点から調査をすすめることによって、戦時期の宮沢賢治の受容についての研究の進展が期待できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外渡航費や宿泊費の高騰、研究協力者の職場環境の変化等で予定していた国外での資料調査の機会を充分に得ることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、シンガポール等の国外における戦時期の日本の児童文学の受容状況について、研究協力者の協力を得ながら調査をすすめる。国外における戦時期の児童文学の受容についての調査が困難な場合は、国内での資料調査を中心に、戦時期の児童文学の受容研究をすすめる。
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