研究課題/領域番号 |
20K00303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
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研究分担者 |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
陣野 英則 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40339627)
田中 史生 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50308318)
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 文 / 日本古典籍 / 学術文化史 / 和漢 / 東アジア / 中国古典籍 / 世界の古典学 / 「文」の概念史 / 古典学 / 日中古典籍 / 国際研究者交流 / 東アジアと世界 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、人文学、とりわけ古典をめぐる研究や教育を取り巻く環境は年々厳しさを増している。本研究は、こうした学界の現状を正面から見据え、日本における和漢の「文」と、日本古典籍をめぐる学術文化史をグローバルな視野から捉え、過去から現在に至る人文知の歩みについて研究を進めることにより、古典学の課題や意義を改めて問い直し、発信していくことを目指すものである。具体的には、①日本における「文」の概念をめぐる通史を描き出す研究、②東アジアと世界の古典学の比較研究、③日中古典籍の交流と融合をめぐる研究、以上三つの柱を設定して、ワークショップなどを通して研究を展開し、それぞれの成果を書籍としてまとめていく。
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研究実績の概要 |
本研究は、日本における和漢の「文」と日本古典籍をめぐる学術文化史をグローバルな視野から捉え、古典学の課題や意義を問い直し、発信することを目指すものである。具体的には、次の三つの柱を立てて研究活動を展開した。 ①日本における「文」の概念をめぐる通史を描き出す研究 については、マサチューセッツ工科大学のWiebke Denecke 教授との共同研究により、『日本「文」学史 通史篇』(仮)の執筆に取り組んだ。オンライン等を利用してミーティングを重ね、各章ごとに先行研究を収集し、内容や構成について検討しつつ、英日両言語で執筆へと進めている。 ②東アジアと世界の古典学の比較研究 についても、Wiebke Denecke 教授と協同して、Wiebke Denecke教授の構想になるComparative Global Humanities initiative (MIT)のもと、ワークショップ「地域モデルとしての漢字文化圏人文学の未来の風景を創造する:研究コミュニティとプラットホーム構築にむけて」を開催し、東アジア古典研究に関わる研究コミュニティとプラットホーム構築を目指しディスカッションを行った。またWiebke Denecke 教授と協同して第2回国際ワークショップ「東アジア古典研究のグローバル化を目指して―古典翻訳の現在と未来」を開催し、東アジア古典研究のグローバル化と翻訳のあり方をめぐるディスカッションを行った。 ③日中古典籍の交流と融合をめぐる研究 については、過去2回の中日古典学ワークショップの成果論集『文献・文学・文化 中日古典学交流与融通工作坊論集・第一巻』を刊行し、また日本語版論集の刊行準備を進めた。また引き続き北京大学の杜暁勤教授、劉玉才教授との連携により「典籍文献研究:中日類書、類聚、事典、爾雅類典籍」をテーマとして第3回中日古典学ワークショップを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①日本における「文」の概念をめぐる通史を描き出す研究 については、『日本「文」学史 通史篇』(仮)の執筆を続けている。前年度と同様、執筆に際しては、研究協力者のWiebke Denecke 教授とオンラインによるミーティングを重ね、綿密なディスカッションを行っている。ミーティングに際しては、事前に調査した内容や、各章の構想をメールによってあらかじめ共有するなど、ミーティングを効果的に行えるよう工夫している。 ②東アジアと世界の古典学の比較研究 は、新型コロナウイルス感染症のため、トーク・ディスカッションを行った上で成果物刊行を目指すとしていた予定を修正し、形式や方法を変えて研究活動を進めるべく、Wiebke Denecke 教授と相談を重ねた。結果として、Comparative Global Humanities initiative (MIT)のもと、ワークショップ「地域モデルとしての漢字文化圏人文学の未来の風景を創造する:研究コミュニティとプラットホーム構築にむけて」を開催し、また第2回国際ワークショップ「東アジア古典研究のグローバル化を目指して―古典翻訳の現在と未来」を開催し、東アジア古典研究をグローバルな視野から捉え直し、発信していくための具体的な歩みを進めることができた。 ③日中古典籍の交流と融合をめぐる研究 は、過去2回の中日古典学ワークショップの成果論集『文献・文学・文化 中日古典学交流与融通工作坊論集・第一巻』を刊行できた。また並行して、日本語版論集の刊行に向けても準備を進め、2023年には刊行予定である。また第3回中日古典学ワークショップ(テーマは「典籍文献研究:中日類書、類聚、事典、爾雅類典籍」)をオンラインで開催できた。2023年11月には「文」と「集」をテーマとする第4回中日古典学ワークショップを開催すべく準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、新型コロナウイルス感染症の影響等により、ワークショップ等当初予定していた活動が今後も予定通りには実現できないことも予想される。しかし状況に応じてオンラインなどの手段を最大限に活用しつつ、研究計画を遂行し、成果発信を実現すべく、研究活動を進めていく。 ①日本における「文」の概念をめぐる通史を描き出す研究 は、引き続きWiebke Denecke 教授とのオンラインによる共同研究により、執筆を進めていく。前年度同様、各章ごとに、先行研究の確認と収集を行いつつ、文章化のための題材やコンセプトについてのディスカッションを重ねながら、英語と日本語での執筆を並行して進める。 ②東アジアと世界の古典学の比較研究 も、引き続きWiebke Denecke 教授との協同により、2023年3月のワークショップ「地域モデルとしての漢字文化圏人文学の未来の風景を創造する:研究コミュニティとプラットホーム構築にむけて」の成果をふまえ、Comparative Global Humanities initiative (MIT)のもと、東アジア古典研究に関わる研究コミュニティとプラットホームを築き研究活動を進める。今後は具体的には「Humans and their Diplomacy of Knowledge」というトピックを立て、議論を経た後、出版物の作成へとつなげていく予定である。 ③日中古典籍の交流と融合をめぐる研究 は、これまで2回開催した中日古典学ワークショップの日本語版成果論集の刊行に向けて作業を進める。また2023年11月には「文」と「集」を対象とする第4回中日古典学ワークショップを北京大学にて開催する予定である。本ワークショップは中日の研究者の「対話」を主要目的とするものであり、対面形式での開催を目指しているが、状況をみつつオンライン形式であっても実施する予定である。
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